文化祭
「おはよう空!!今日も元気にやってこうぜ!!」
「お前……焼けたな」
夏休みを終えて、平常授業が再開する9月、隼也が挨拶をかましてくるが、かなり焼けてる。
「まぁなー、お前らと海行ったりしたしな。そう言うお前も結構焼けてるぞ?」
「マジか?」
自分じゃあまり気付かないもんだ。アリスも焼けた…と言えば焼けたんだろうが、あまりわからない。
「アリスも焼けてたか?」
「焼けてたよ?ほら」
「ぶふっ!?」
胸元をチラッと見せて水着で焼けてない部分を見せてくる。男の欲求が刺激されるも、我慢するすべを身につけている俺には効かん!
「アリス、そういうのは禁止って前に言ったよな?」
「え!?これもなの!?」
病院にいた時、初めてキスをした日にした約束だ。学校なら歯止めが効かなくなるからそういうのはやめてくれって。
「アウトすぎるわ!!」
「なら抱き着くとかクンカクンカって匂い嗅ぐのは!?」
「アウトだよ!つかお前そんなことしてたの!?」
「ガビーン…」
この世の終わりみたいな表情でアリスが崩れ落ちる。
「は…ははっ…学校が終わるまであと8時間…その間ずっと空お預け…?」
目がハイライトついてないし焦点定まってないし色々ヤバい。だけど、それと同時に約束した筈だ。アリスにしか聞こえないように耳打ちをする。
「い、家じゃ好きにしろって言ったろうが。キスでもハグでもなんでもしてやるから…」
恥ずかしすぎる。女が言うのならトキめくが、男が言うんじゃ…ねぇ?色々ヤバい。
「約束だよ!?家帰ったら速攻でだからね!?」
「分かってるよ…」
目が輝いて満面の笑みを浮かべ、アリスの機嫌が超良くなると同時に、チャイムの音が鳴り響く。
「ほーいお前ら、席につけ〜」
担任の正一先生が入ってくる。親父から聞いた話だと、この人と田中先生はあの林間合宿の時、真っ先に病院に行って親父に謝ったらしい。俺への面会は親父が許可しないとダメだったらしく、この2人は通してもらえなかったが、その分とんでもなく誠意に謝ってくれた事を親父はとても気に入っていたし、この人になら存分に教えてもらえ!と太鼓判を貰える人だった。
「おう空…何もしてやれず悪かったな」
「いえ、大丈夫です。親父から話は聞いてますから」
「そうか…」
そんな会話をチラッとだけすると、教卓に立って声を張り上げる。
「さてお前ら、そろそろ文化祭が始まる時期だ」
そういえば今月はそんなイベントがあったな。文化の秋に因んでやってるらしい。
夏休みに浮かれてて完全に忘れてた。
「そこで、今日の1時間目は何をやるのかを決めたいと思う。各自で考えてくれ」
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