ああああああ見つかったああああ!!
俺とアリスは2人、床に座って一緒に勉強をしていた。
「なぁアリス、これは?」
「これはね。xをここに代入するじゃん?そして次に…」
正直に言おう。アリスの勉強はクソほど分かりやすい。教師になれるんじゃねぇかってくらいヤバい。いやもう現役の教師超えてるんじゃねぇか?
「成る程な…」
「じゃあ私はこれなんだけどさ」
「この時点での作者の気分を作中で抜き出せ。この時点ってついてることはここら辺りの文章であることに間違いはない。そこで作者の心情が描写されてる部分は?」
「ここ?」
「そ、だから答えは『私はあの人を愛しているんだろう』って事だ」
「成る程。空は私を?」
「……いわねぇぞ」
「ぶーー!!」
どうせ愛してるとか言わせたかったんだろうが、俺が言うはずないだろう。まぁ、友達としてはアリスは好きだ。大好きだ。だけどそこはあくまでlikeであり、Loveではない。
「あっと…」
消しゴムを俺の勉強机の下に落とし、アリスはそれを拾おうとする。別にそれには気にせずに勉強を進めていたが、いつまでたってもアリスが勉強机から出てこないことに気がつく。
「アリス?何してんだ?」
「ふ、ふふ、ふふふふふーん!空ってばこんなの好きなんだ〜!?やっぱり男子だなぁ」
「ぶふぉっ!」
思わず口から空気を吹き出した。だってそこから出てきたのは、俺が中学時代の時の知り合いに貰った男のお宝なのだ。しかも…幼馴染モノ。
「……アリスさん?今は勉強に集中しましょうよ」
「保健体育実技の?」
「ちげぇよ!!」
「ならこれの説明を求む!!どういうことなの!?幼馴染モノが好きなのに、なんで私のことは好きじゃないの!?こういうシチュエーションになったときは耐えられなくなった空が私をベットに押し倒し…」
「そんな展開あるわけねぇだろが!!」
白熱した口論。気づけば俺たち2人は立って居た。本当に、親父達が今日遅くなるから先に寝てろって言われたのが本気で助かった。こんな会話親にでも聞かれたら地獄でしかない。
「ならお願い!!一生のお願い!!私と一緒にお風呂入ってもらえませんかね!」
「なんでだよ…」
「じゃないとこれの存在、お義父さん達にバラすよ?」
「うぐっ…」
そうだ。俺には人質がとられているんだ。やばい。ここはこいつのいう通りに従うしかない。
「わぁった…言う通りにしてやる。ただしだ!お互いに水着を付ける!!これが絶対条件だ!!」
「うぐっ…まぁいいでしょう…」
………
……
…
時計の時刻は午後7時。俺らの家庭の一般的な風呂の時間だった。脱衣所で覚悟を決めて、水着に着替えて風呂場に突入すると、体を洗っているアリスの姿がある。
「あ、きたんだね〜」
「てめ…!!なんで下着なんだよ!?」
「えへ、水着がなかったから。ま、そんなことはいいから早く入ろ!」
刺激がヤバすぎる。俺の如意棒が凄いことになってしまいそうだ。
ドアを閉めて、少し狭いと感じながら体を洗い流す。
「前も思ったけど、空の体ってすごい引き締まってるよね?なんかやってたの?」
「中学の頃サッカーをやっててな。その後も少しだけ筋トレしたりとかしてるし」
アリスが来てからそんなことはあんまりしなくなったけど、前は結構していた。
「へぇ…じゃあ、空も来たことだし、一緒に洗いっこしよっか!!」
「あ、洗いっこ?」
「そ!空は私の体を自由に洗って良いけど、私も空の体を自由に洗って良いの!」
「な、なんつう破廉恥な遊びだ…けしからん」
完全に18禁展開になっちまうやつだよこれ。
だけど俺は人質に取られちまってる。仕方ない。仕方ないんだ。
『グヘヘへへ、空ぁ、もう我慢するこたぁねぇよ。アリスだってお前のこと好きなんだ。ここで襲っちまっても責めねぇよ』
お前は…悪魔の俺!!ふざけんな普通に犯罪じゃねぇか!!
『ダメだよ空君!!君は分かってるはずだ!そんなことは絶対にしちゃいけないと!!』
お、お前は…天使の俺!そうだよな!!そんなことしたら俺らの関係に亀裂が入っちまうもんな。
『おいおいおい、ふざけんなよぉ?アリスが来てからかれこれ1ヶ月少し経つ。その間全くしてなかったもんなぁ?最近溜まって来たんじゃねぇの?え?』
まぁ…健全な男子高校生なら…ねぇ?でもそれとこれとは話が別じゃねぇか!
『そうだそうだ!!悪魔はとっとと消え去れ!』
『うるせぇっ!!』
『ギャピッ!!』
ああああああ!!天使の俺が殴り飛ばされたんだけど!?え!?これどういうこと!?俺の頭の中でどんなカオスなことが起こってんの!?
『空ぁ!!やっちまえよ!ぐへへへ』
「空?」
「はっ…」
頭の中にトリップしていた俺だったが、直ぐに冷静に帰ってアリスの方を向く。首を傾げてこちらを見るアリス。
「わ、分かった。洗いっこだな」
「え!?やってくれるの!?」
「お…おう…」
ボディソープを掌につけて泡立たせ、アリスの肩に触れる。ビクッ、と一瞬痙攣したように見えるが、「大丈夫」と声を出した。
「っ…あっ…」
無心になれえええええええ俺えええぇ!!アリスの色っぽい声なんて好きな音楽を頭の中に流して聞かないようにしろ!!
「っ…む…無理ぃ…」
「あ、アリス!?アリス!?」
頭から湯気を出しながら顔を真っ赤にしていたアリスは、俺に向かって倒れ込み、そのお風呂回は中断するのだった。
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