やはり完璧系女子は、嫌われる運命にある

「空〜!!」


いつもの様にアリスが俺に抱き着く。慣れとはとても怖いもので、もうだいぶ慣れた。「えへへへ〜」と言いながら俺の胸に顔を埋めるアリスだったが、最近少しばかり嫌な予感がしてきた。


「チッ…」

「うっざ…」

「可愛いと思ってんの?」


あまり思い返したくないので言えないが、俺は中学時代、悪意に晒された。だからか知らないが、人の悪意をある程度なら見抜ける様になった。

クラスの数名の女子が、アリスに向けている悪意を感じ取った。


(まぁ…アリスに嫉妬すんのも無理はねぇか)


恐らくだがその感情の根本は嫉妬から来ているものだろう。

アリスの容姿はこれ以上ないほど整ってるし、スタイルも男ウケが良いと思われるものだ。そして、今も数人の男子から好意を持たれてる。女子数名は、それが面白くないと感じているんだろう。

だが、今はどうしようもない。それにアリスは殆ど俺と一緒に行動してるから、もしなんかあったとしても助けられる。


………

……


「なにこれ?」


いつもの学校終わり、俺とアリスは下駄箱で上履きから靴に履き替えようとすると、アリスの方から変な声が聞こえる。

そこを見てみると、紙のようなものを持っているアリス。


「これ…」


「ら、ら…らぶれたー?」


A4紙には『放課後、屋上に待ってます』とのメッセージがある。どう考えてもラブレター的な奴だろう。だが、思いのほかアリスに動揺した様子は見られなかった。もっと慌てふためくもんだと思ってたけど。


「空、じゃないよね?これ送ったの」


「違う。そもそも俺はラブレターなんて柄じゃねぇ。やるなら直接告白する」


「むふふふうっ、なら空から告白されるときは直接されるんだね?嬉しいなぁ。結婚式場はどこにする!?」


「話が飛躍しすぎだろ!まず結婚するなんて言ってねぇし!」


「大丈夫!!いずれするから!!」


なんつう暴論。つか付き合い吹っ飛ばして結婚とか…。つか今はそんな話じゃない。


「ま、まぁその話は置いといてだ。これ、どうすんだ?」


「断るよ。私空以外の男興味ないもん」


「バッサリ言ったな…」


そんなバッサリ言うとは思わなかった。なんでそこまで俺に固執するのか、逆に気になる。


「じゃあ、ちょっと待っててね。すぐ戻るから」


そう言って、アリスは下駄箱から屋上へと向かう階段に登っていった。


「………」


昨日今日出来た女子の悪意。あいつらはいつ行動を起こしても不思議じゃない。心にモヤが残り、俺は首を抑えた。


「いくか…」


念の為だと自分に言い聞かせ、2分後、俺は階段を登った。

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