嘘だドンドコドーン
『空〜!!とっととお風呂入っちゃいなさい!』
一階からその声が響く。時計を見てみるともう既に7時を回っていた。着替えを持って一階に降り、洗面所で服を脱いで風呂に入った。
〜〜〜
「ふぅ…さっぱりした…」
タオルで体を拭き取っていると、着替え用の白いシャツが無いことに気がつく。
「アレ?」
ズボンとパンツだけしかなく、それを履いてリビングの方に向かった。別に家族に裸見られてもなんとも思わないし、暑くなってきたからこれはこれで涼しいから構わないと、気楽なつもりだった。
「母さん、俺のシャツ知らな…え?」
母さんの隣でキッチンに立っていたのは、エプロン姿のアリス。
「ぁ…あぁ…ああ」
アリスの顔はみるみるうちに赤くなり、俺は急いで自分の部屋に戻って別のシャツに着替えてリビングに戻った。
「おい母さん!!これどういうことだよ!」
「何って…アリスちゃん、今日からウチで暮らすことになったから」
「はぁぁあああっ!?」
近所迷惑など考えずにそんな声を放った。
「いやぁね?アリスちゃんのご両親にはなにかと世話になったし、アリスちゃんがこっちに戻ってくるって聞いたから。でも一人暮らしってお金がかかるでしょ?」
だからアリスがこの家に居候する。たしかにそれなら…と納得してしまうが、納得した瞬間に倫理的にヤバいことを俺の本能が告げた。
「いやいやいやいや!!そうは言っても何考えてんだよ!!」
「なら空は可愛い可愛いアリスちゃんが、安いアパートで、防犯も殆ど整ってない場所で住ませるの?」
「うぐっ…」
それはダメだ。アリスをそんな場所で住ませたくない。
まさか…本気でここに住むのか!?アリスが!?
「なら…どこで寝るんだよ」
「私とお父さんの部屋はアリスちゃんにとって少し嫌だと思うから…必然的に空の部屋になるわね!」
「ぶふっ!?」
吹き出さずには居られないその言葉に、俺は体の体温が上がるのを感じる。
「そもそもアリス、そっちの方が嫌だろ!?」
半分ヤケになりながらそれを聞くと、スカートを両手で握って、顔を赤らめながら口を開いた。
「私は…空と…一緒がいい…です」
「oh…」
危なかった。仕草が可愛すぎて惚れかけた。
「ふふっ、じゃあ決まりね」
………
……
…
夕食を終えて歯を磨くと、俺はアリスを連れて自分の部屋に入った。
「うぉ…おぉぉおお、空の部屋!空の部屋!」
子供のように目を輝かせて部屋の中を物色する。別にそれは構わないのだ。今からこいつと俺が一緒になるってことを考えたらそんなことはマジでどうでも良い!!
「あ、アリス……本当に俺もここで寝て良いのか?なんなら俺リビングで寝るけど…」
「何を言うの!?空が私と一緒に寝るから興奮するんじゃん!!いや、空がいつも寝てるベットで寝るのも興奮するから、それで一緒に寝るから大興奮だね!」
意味がわからない…だけど一瞬やばいこと言ってなかったかこいつ。
「お前……さっき俺と一緒にベットで寝るって…」
「言ったよ?」
「ハッキリ言うぞ?俺は男で、お前は超絶美少女でスタイルも良い。襲う可能性だってなくはない」
勿論俺にそんな気は一切無い。だけどしてしまうかもしれない。それは絶対避けたいから俺はリビングで寝る。
「私は空になら襲ってもらっても良い。むしろ大歓迎」
真顔でそれを告げるアリスに、もう何を言ってもダメだと諦めがついてしまう。
「はぁ…」
ベットにダイブして仰向けになると、アリスと目が合う。その瞬間笑みを作り、アリスもベットに横になる。
「んじゃ電気消すけど、俺がどっか触ったからって警察通報はやめてくれよ?」
「ぶー、私がそんなことすると思うの?」
いや、ないと思うけど…ね?一応念のためだ。
電気を消して毛布を2人で被ると、俺の体をアリスが抱きしめた。
「おい…!」
「夢みたい…好きな男の子とこうして1つ屋根の下で暮らせるなんて…しかも、同じ部屋で、同じベットで寝れる…」
そして、アリスは俺の耳元で呟いた。
「絶対に、空の口から好きって言わせるから」
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