『結婚』
私の名前はユカ。
最近、大好きだった彼と結婚したの。
私からプロポーズしたのよ?
なかなか勇気のある女でしょ、私。
そうしたら彼ね、アパートの玄関で私のことを抱き締めてくれたのよ。
人の温もりを感じたわ。
その日はそのまま彼のアパートで一夜を共に過ごしたの。
今まで生きてきた中で一番幸せな夜だったわ。
次の日、まだ寝ている彼の為に手料理を作ってあげたんだけど、まだ夢見心地なのか食欲がなかったみたいであまり食べてはくれなくてね。
ほんの少し、残念だったわ。
だけど水分は取らないといけないから、口移しで水を飲ませてあげたの。
そうそう、その日はお風呂も一緒に入ったわ。
彼の身体が少し冷えていたから、お風呂で温めてあげたのよ。
だって、風邪をひいたらいけないでしょう?
しばらくそうやって新婚生活を楽しんでいたのだけど、ある日、事件が起こったの。
突然アパートに誘拐犯がやってきて、抵抗する私を連れ去ってしまったのよ!
きっと、悪漢達に色んな嫌がらせをされて社会に出られないようにされてしまうんだわ!
そんなの、嫌よ!
私と彼の結婚生活はまだ始まったばかりなのに!
私と彼を引き離すなんて最低よ!
お願いだから助けに来てよ、あなた!!
「なあ、今日のニュースもやばくなかったか?」
「あれだろ、死体と生活してた女の事件。包丁持って押しかけて玄関先で殺すとかまじ怖え」
「赤の他人からのプロポーズなんて受けるやついねえのにな」
「しかも死体と結婚生活だろ?無理無理、ありえねー」
「これからインターホンが鳴るたびに、相手が包丁持ってないか確認するか」
「どうやるんだよそれ。ってかその前に鏡見ろ、鏡」
「いやいや、わかんねえじゃんか〜」
『ドンナアナタモアイシテイルワ』
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