最終話 女神の吐息見守る世界

ファウは昔の事を

思い出していた。

ファウはこれまでの人生は

長かったと思いつつ

レティシアと別れたあの日を思う


レティシアが消えた


まるで、そこには何もなかったかのように。

ファウが疲れはてて

孤児院に戻りマザーからレティシアはどうしたの?帰りが遅いわ

と言われてレティシアがいた実感を

取り戻し号泣した


魔術師であるファウは

自分は地上から世界を守ることに

献上しようと

あれから王女の護衛魔法騎士に

なり

孤児院は貴重な人材を育て

豊かな生活をおくった


守れなかったレティシアのかわりに

せめて王国は守ろうと思った。

王女カトレアに求婚されたが

断るなどもした。


カトレアはしつこくまくのは

大変だった


考え深い人生だった


そして彼は今最期の眠りを迎えようと

していた


ファウ「…俺は、お前を守れなかったよな、救えなかった。レティシア。すまねぇ。

今も、どこかで、、見てるか?レティ…

俺の大事な妹。」


そう呟きながら彼は死を迎えた





………………


………


ファウ「ここは?この姿は若い頃の俺か?あぁ、俺は死んだのか。」


ファウは

白い空間を浮いていた


「一つの灯火よ、こっちよ」


ファウ「?!」


淡い青白い光が

ファウを導く


ファウ「声がした気がした。この光は?ついてこいって事か?」


魂だけとなったファウは

自由に浮かびながら

光が導く先にゆっくりゆっくり向かった


視界が白だけでない事に気がついた。


二つの月がある場所に出たファウは

奥にいる人物を見て驚いた


ファウ「レティ、シア…??」


奥にいたのはレティシアだった。


レティシア「そう、よ。私は女神レティシア。言ったでしょう?見守ってると。

何度でも廻っても見守ってるわ」


ファウ「…レティシア…ずっと。

会いたかった。

俺はお前を守れなかったな。すまねぇ。

だがまたこうして会えた。

お前が俺を見守るなら……

俺は何回廻っても廻っても死の度にお前を必ず思い出す。

ここに灯火として来る度に。それを兄として誓う」


レティシア「兄さん?何をいって?灯火がまた廻るまで眠って良いわ。私が見守るわ。」


ファウ「いや、これは。灯火にかけて。誓う。何度でも廻っても人間にまたなって記憶が塗り替えられようとも。

ここにこうして来る度にお前を思い出す。

お前が寂しがらないように。

兄ちゃんの最期の約束だ。

これは必ず必ず守るからな。

だから果てしない時も退屈は少しはしないだろう?」


相変わらず頑固な兄だと思いながら

レティシアは困った顔で笑った


レティシア「仕方ない兄さん、…灯火よ。

女神レティシアは守るわ。だから安心して。また廻る時まで今はおやすみなさい。」


ファウ「力が必要なら貸す。必要なら俺を頼れ」


レティシア「その口癖、なおらないのね。おやすみなさい。」


女神となった

かつての妹の声と光によって

ファウの灯火は誓いを強く持ちながら

静かに眠りについた



生と灯火と時を司る女神レティシアが

優しく


世界を

灯火を見守り

時を刻み続けている


果てしない時の中で

生きながら。


時を刻み命を守る

彼女の優しげな吐息は

世界を

照らしているのだった


廻る度に思い出す

誓いと約束

思い出がある


これは彼女がかつての兄と

約束した物語の記憶。



始まりの物語 終

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