第18話 誤解と女神の試練

紫色の髪の男

シモンは髪を乱しながら

言い放つ。


かつての賢者としての

面影は薄れていた


シモン「あぁ!!計画が。

…我が女神。

これは、貴女が遠き日にした賭け。

私は負けるのか?私は操られていない!!世界は正しい姿をなそうとしているはずだ。

そんなに私を殺したいと!?」


レティシアは全てを理解しながら

シモンに問いかける


レティシア「貴方は間違っている。

操られているわ。闇が世界も女神も最終的に壊してしまう。女神が壊れたら貴方の元にいれないのよ?

正気に戻って」


シモン「黙れ、正気だ!

間違っているわけがない。

闇で蝕めば堕ちるだけだ。そなたが

覚醒して継いだところで

私の救いになるはずがない!

女神は私を殺し、世界を結局救いたいだけだ」


レティシアが悲しげに諦めたような顔をしてから

兄に向き合った


ファウ「レティシア?」


ファウに触れた瞬間

ファウに情報が流れ込んできた


運命を塗り替えるチャンスは

今。


レティシアの力が強すぎる理由

レティシアは半分は人間で

半分女神の力がある。

レティシアが地上で内側から

シモンと地上を浄めることが

使命


完全に女神に覚醒できるかは資質次第で

覚醒できなければ神には至らない

消えるのが女神候補の定めだと。



レティシアが今身体を作り替える

苦痛に耐えられ

それを乗り越えた時に

運命を塗り替えこの先も

生きる事が可能だと。


ファウ「お前、……じゃあ…」


レティシア「…女神になったら、もうきっと兄さんといれないわ。

ならなくても人間として力が限界になって死ぬ。…女神になろうとして失敗しても

私は消えるわ。だから…チャンスを掴むしかない」


レティシアは泣きながら

シモンに歩み寄る


レティシア「こうするしかない。

何より私は兄さんがいる世界が壊れてほしくない。

賢者、シモン。貴方は罪を重ねた。そしてかの女神も。

私は次世代の女神に覚醒して修正するわ

兄さんがいるこの世界を守るためにも」


シモン「やめ!!…っ!!」


レティシアが纏う光は力を帯びて

いく。


彼女の髪色も変化していく

少しずつ女神として

覚醒しているのだ

幼さを残した少女は

女性と変化していく。


レティシア「女神は貴方を愛しているわ。

だからこの世界に私自身が人間として生まれた。貴方と世界を直接癒やすために。

次世代の女神は本来何らかの試練を越えたら

完全に覚醒する。半分人間であるとは限らない

地上までわざわざくる必要はなかった。

世界だけなら覚醒してから癒せば良いもの。

貴方は色々誤解しているのよ

私は貴方を浄化する」


シモン「彼女が…私を未だに、愛していると?」


レティシアは頷き

シモンに更に語りかける


レティシア「女神は今、1つの場所に縛られている。それは貴方のため。

そこは貴方と同じ時を生きれる場所なの。

私に座を譲って後は貴女のためにそこで生きようとしている。

でも貴方は女神の声を全て聞かなかった。いえ、もう殆ど聞こえなくなっていた」


シモン「……女神は我が闇で弱り…

世界と自身を守るために。

私を殺したいのだと…

違った、というのか?

私はその前に完全にこの世界を闇にして

女神を人間にして、受け継ぐ女神の誕生もゆくゆくは阻止して結ばれる理を作ろうと…」


シモンは項垂れながら

膝をついた


レティシア「全て間違ってるわ。確かに世界のためでもあるけど。

私は貴方を。元の賢者に戻しに来た。そうすれば貴方は女神の声を聞き女神が待っている場所に行けるから。」


ファウ「レティシア…お前」

ファウは止めるべきか悩んでいる

ような仕草をみせた


レティシア「…私は今も既にゆっくり身体を作り替えられているわ。

まだ耐えれる域だからこうして話せているけど。

内側から力を発動して世界の歪みとシモンの歪みを修正するわ。

大丈夫、よ。私が乗り越えれたら生きれるのよ。思っていた寿命より、ずっとね。女神だもの」


ファウ「きっと、永遠に近いだろ?

それはお前にとって救いと言えるのか?!」


レティシア「…大丈夫。大丈夫よ。

私は。ずっと兄さん達がいる世界を守りたい。きっと守るわ。

無茶しないって約束は守れないけどね」


レティシアは笑顔で

そう言い終えた


レティシアは

シモンを見つめた


シモン「!!」


レティシア「私は女神になる」


レティシアは

女神に呼び掛けた


レティシア「女神よ。器は少しは準備ができたわ。

貴女を受け継ぐ試練を受け入れる時は来たわ。

さぁ、私の身体と力を完全に作り替えて。」


レティシアがそういい放つと

身体だけでなく

力の資質が少しずつ変わっていった


半分人間だった部分が

悲鳴をあげた


彼女から血が溢れだした




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