第14話 チャンス

レティシアがふらふらしながら

兄の姿を追っていたら

黒き力の気配がかなり強い

部屋まで来た。


レティシア「ここは?……」


目の前には兄の姿をした何かが

笑いながら

レティシアを見ている


レティシア「?!

……あなた、あなたは誰なの?!

やっぱり私の兄さんじゃないわね?

兄さんの姿で悪さでもする気なの?

許さないわよ」


そういい放つと同時に目の前の

兄の姿は消え去り

周りの景色が変わった


レティシアは黒衣を着た

人物に囲まれていた

強い魔力を感じたレティシアは身構えた


ひときわ大きな黒き影が揺らめいていた


レティシア「…何なの?」


クリス「小娘、また会ったな」


フードを外して話しかけてきた

黒衣の男。

レティシアは銀髪の彼を見て

驚く


レティシア「貴方は?…前に消えた人?」


クリス「そうだとも。まだ覚えていたか?

光栄だな。…今日はお前を誘いに来た。

仲間にならないか?

その力。さぞ差別されてきたんだろう?」


レティシアは警戒しながら

話す


レティシア「誘い?仲間?

……近づかないで。

私は兄達に愛されて育ったわ。」


クリス「お前、異端者だろう?

我々も異端者だ。世界に迫害されし者。俺はみかたになれる。だから我々の仲間になれ。

愛されて?

お前の兄も異端者だからだろう?

世界はどうだ?王国はどうだ?」


レティシア「…いいえ。私は迫害されていないわ!!

確かに私は両親に捨てられた。

でもうまく生きてこれたわ。努力次第よ

だから貴方達の仲間にはなれないわ。魔物を操っていたのも貴方達ね?」


クリスは笑いながら

黒き影にこっちに来てくれと呟いた


レティシア「?!」


クリス「悪いが、協定が無理なら」


レティシア「…」


クリス「我々の操り人形となれ。計画のために、な。ククッ」


クリスがいい放つと

黒き影はレティシアに向かい

レティシアの身体に纏いはじめた


レティシア「いやっ、やめ、て。兄さん…私はまだ、チャンスを掴んで、いないわ」


クリス「無駄な抵抗はよせ。

それは世界の闇の力そのものだ。

かの君は世界の闇そのものを吸収したからな。

女神さえ衰退させた世界の闇の力だ。

女神以上の存在でもない限り

抵抗は効かないぜ?」


レティシアは掠れそうになる意識を

保っていた

このままじゃ傀儡になる。

兄さんときっと、もう会えなくなる


レティシアがギリギリの状態を保っている

時だった

凛とした声がレティシアの内側に響いた


「チャンスは、今よ。」





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