第13話 罠


レティシアは街を歩いていた


何日か前に保護した

一部が掠れていたが

名前がついた首輪を付けていた

不思議な小さな獣が何故か

レティシアの服を引っ張る


レティシア「?どうしたの?ねぇ。セレ。待って」


セレと呼ばれる

獣は

レティシアをあっちにいくな

危ないよ?

とまるで言っているかのように

服を引っ張る


レティシア「どうしたのかしら?

もう。兄さんにお弁当を届けないと。白魔術師会があるからって急いで出ていったから。」


セレは服を離さない


レティシア「もう。おかしな子ね?

あぁ、もしかしてお腹が空いたのかしら?

仕方ないからまた、お肉を少しわけてあげるわ。」


セレはお肉と聞いて

ミミが動く。セレが油断した隙に

セレから距離をレティシアはとった


セレ「!!」


レティシア「待っててね。兄さんに届けたらすぐ戻ってくるから!」


レティシアは小走りで近道の路地裏に入り

兄のいる場所にいこうとした


レティシア「あら?」


黒い影を纏っているが

紛れもなく目の前を横切るのは

兄の姿だった


レティシア「兄さん…?どう、して…そんな…どうしてそんなに力が歪んでいるの?」


兄の姿をしているがこれは

果たして兄なのだろうか?

調べなくては。

レティシアは咄嗟にそう思った


レティシア「兄さん…?」


兄の姿をした彼は

更に裏の路地裏に

走っていった


レティシア「待ってよ!」


レティシアは

小走りで兄の姿を追いかけたのだった


その姿をセレは

真っ直ぐな銀色の瞳で悲しげに

見ていた


セレ(武運を祈るよ)

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