第17話 地を駆け巡る稲光 /夙きこと稲光の如し 〜直緒&友美〜

『直緒』


 般教の講義中に憎念の気配を察知し、私は講義を抜け、人気のない所で変化し、その現場へと駆け出す。その最中、同じく憎念の退治に向かっている、変身した友美と合流する。


「ゴメン、直緒。遅くなった」

「そんなことないよ」

「英語抜けづらくてさ」


 友美が衝撃的なことを口にする。


「ええ! 語学抜けてきたの? 出席とか平気?」

「まだ序盤も序盤だから。それに、課題出せば欠席も一個減るらしいし」


 本人はそう言っている。でも、大丈夫なのかなぁ。


「語学だったら、来てもらわなくても大丈夫だったのに」

「仲間が傷つくくらいなら、出席の一個くらい憎念にくれてやるわよ」


 そう言ってくれて、凄く頼もしい。


「それに、確認も兼ねてるし」


 確認? なんのことだろう。


「さあ、着いたよ」


 私たちは現場に到着する。

 そこにいた憎念は霊体こそ多かったものの、実体の量はそこまでいない。これくらいなら友美と協力すれば、問題なく終わるだろう。私は拳を構えて集中し、力を高める。


 友美を見ると、どうやら彼女も力を高めている様子だ。ただ力の高まりとともに、バチバチという不思議な音がどこからか聞こえてくる。友美が原因っぽいってのは分かるけど、一体どうしてそんな音が鳴るのか分からない。ってことは、これは友美固有の力なんだろう。


 そして、だんだんとバチバチという音は、バチン、バチンという音へと変わり、うっすらと友美の身体が輝いているように見える。

 友美は閉じていた目を開き、戦う準備ができたみたい。


「どう戦う?」


 そう聞く私に、友美はこう返す。


「危ないから、直緒は下がってていい。私が一人で片付けるから」

「一人で? そんなの、いくら友美でも無茶だよ」


 二人では楽勝な量だとしても、一人だとかなり多い。


「大丈夫。私はこれに対抗しうる力を持ってるはずなの。だから、その確認をしたいの」


 確認ってそういう事だったのか。いや、それなら尚更一人で戦わせられない。


「確認って、確実じゃないなら尚更一人でにはさせられない!」

「私の力は私が分かってる。大丈夫。それにこれは私の問題だから、直緒は気にしなくていいよ」


 そう言って、友美は動き出そうとする。その動きを止めようと手を伸ばした瞬間、友美が高めていた力の正体を身をもって知る。

 バチッ、という激しい音が鳴り響き、止めようと近づけた指先に、刺すようなとても強い痛みが生じる。それは真冬の乾燥した時期、迂闊に金属を触ったときに生じる痛みの上位互換。


 間違いない、電気だ。友美は電気を身体に纏ってる。


 そして、友美は走り出した。私は生じた強い痛みに耐えかね、反射的に伸ばしていた腕を引っ込めたので、走り出す彼女を止めることができなかった。


 目の前にいたはずの友美は走り出した瞬間、煙のように一瞬で消えてしまった。そのかわり、目の前には一つの光が高速で地を這っていた。私にはその光の軌跡が稲光のように見える。

 その稲光は、動きに秩序なく憎念に向かって行き、それが通った後に憎念は存在していなかった。だけれども、その動き方から、憎念を根こそぎ倒してやろうという、意思のようなものを感じた。


 正確には数えていなかったけど、体感時間で言えば五秒もかからずに、目の前の憎念が半壊し、大体十秒、といったところで、目の前から綺麗さっぱり憎念がいなくなった。


 そしてその稲光の終点には、険しい表情をしながら肩で息をする友美の姿があった。ただ、その身体は輝いて見えず、バチバチという音も聞こえなかった。


 友美は前傾姿勢からゆっくり戻り、私に言う。


「ほらね、大丈夫だったでしょ? 私は一人で倒せて、直緒は傷ついてない。私の言った通り」


 そう言いながら、友美は強気な笑みを浮かべている。


「一体なにをしたの?」

「ちょっと本気出しただけ」

「本気?」

「うん。でも、今の本気はこんなもんだけど、まだまだ私は強くなる。それが今日確認できてよかった。これで、もっと、もっと、みんなを守れる」


 これだけとんでもないことをした友美が今よりももっと強くなるとすれば、非常に心強いし、凄いし、嬉しい。でも、私はどうしてか、友美に強くなって欲しくないって思う。

 どうしてなんだろう。私たちは強くならないとダメなはずなのに。ただ、友美の不自然なくらいの強気な笑みと、頼もしい台詞を聞いていると、どうも強くなって欲しくない、って思えてしまう。


 多分、何かが変なんだ。ただ、その何かが分からない。でも、それを分からないとダメだ、って直感が言ってる。


「それじゃ帰ろうか。思いのほか早く終わったから、今の時間の講義間に合わないかな」

「それは無理そうだね」

「だね」


 そう言って、私たちは現場を後にする。

 次の時間は法律の必須科目。二人して受講してるから、大学へ一緒に戻る。


 ただその時に一瞬だけ、友美が足を引きずるようにして歩き、表情が少し歪んだところを、私は見てしまった。

 それを見て何となくだけど、友美が強くなって欲しくない、って感じるその理由を垣間見たような気がした。


 ────────────────────


『友美』


 よりによって、こんなときかよ。


 私が憎念の気配を感じ取ったのは、学部教室の一番後ろの席。今何をしていたかといえば、英語の講義。40名ほどしか入らない小さな教室で、講義を受けている全員が、シーンと静まり返っている。とてもこの教室から出られそうな雰囲気ではないし、今出ていけば多分欠席扱いになるだろう。

 欠席は半期で三回までしかできない。それ以上欠席すればこの講義は、単位を付与しないということになっている。だから許される三回の欠席は、とても貴重。


 それを四月のこの段階で使うのもどうかと思ったけど、絶対に直緒は現場に向かってる。だから何としてでも行かなきゃいけない。直緒を守るために。


 そう決心した私はさっと荷物をまとめ、おもむろに教室から出て行く。教員を含む数名の目線が向けられるも、御構い無し。

 教室を出た瞬間、すぐさま駆け出し、憎念の出た場所へと向かう。


「情愛変化!」


 誰にも見られていないことを確認し、走りながら心の中でそう叫び、装備を纏う。

 少し走ったところで、直緒と合流する。


「ゴメン。直緒、遅くなった」

「そんなことないよ」

「英語抜けづらくてさ」


 私がそう言うと、直緒は驚いた様子で聞いてくる。


「ええ! 語学抜けてきたの? 出席とか平気?」

「まだ序盤も序盤だから。それに、課題出せば欠席も一個減るらしいし」

「語学だったら、来てもらわなくても大丈夫だったのに」

「仲間が傷つくくらいなら、出席の一個くらい憎念にくれてやるわよ」


 そう。大事な仲間が傷つくくらいなら、欠席の一個くらいくれてやる。それに救済措置も一応あるし、一欠したところでまだ二回も休める。

 それに……。


「それに、確認も兼ねてるし」


 私は私に、他人を守れるだけの力があるか確かめる必要がある。


「さあ、着いたよ」


 そして、気配を発する原因となる場所にたどり着く。今日もいっぱいいるなぁ、なんて考えながら、敵の数を数える。


 ええっと、ひい、ふう、みい……10、20、うーん。

 憎念実体は多分40ちょい体くらいね。あとはその取り巻きの憎念霊体。霊体は雑魚だから、まあいいとして。実体の量がちと多い。二人で分割すれば、楽々だけど一人で倒しきるのはかなりキツイか? でも、このくらいが確認にはちょうどいいかもしれない。


 さて、戦うにあたって今回は何の力を使おうか。

 私の力が成長しているかどうか確かめたいけど、今は講義を抜け出してきてるし、次の時間も講義があるから時間がない。自分の成長を一つ一つ、ゆっくり確認しているなんて暇はない。


 それなら、丁度いいのがあるじゃん。その身に纏えば高速で動くことができる代わりに、身体への負担が一番かかるやつが。


 その力は「雷」。


 しかし、その反動は前の炎よりも大きい。痺れるような痛みが全身を襲う。

 だとすれば自分の成長の確認と、それに時間もあまりないようなまさに今が「雷」の使いどきだ。


 そう思い、雷の力を体にチャージするため目を瞑って、集中する。頭の中や身体中に電流が駆け巡るイメージを描き、頭と心の中から世界を排し、それだけに集中する。


 身体の内側に雷のエネルギーが湧き上がり、チャージされるに従って、パチッ、パチッ、という何かが弾けるような音が身体から聞こえてくる。そしてその音はチャージが進むにつれて、バチッ、バチッ、というものに変化し、最終的にバン、という破裂音が聞こえてくる。

 見ると、全身を覆う装甲がほのかに青白く輝いている。それは真昼の太陽の下だというのに、青白いと認識できる程度に輝いていて、その装甲の表面を時折電光が走る。


 チャージが終わり、戦闘態勢が整う。纏う段階では、何の負担も身体にかかっていない。この時点で明らかに、以前よりも力が身体に馴染んでいるのが分かる。これならいつでも行ける。


「どう戦う?」


 自分も戦おうとする直緒は、作戦を聞いてくる。


「危ないから、直緒は下がってていい。私が一人で片付けるから」

「一人で? そんなの、いくら友美でも無茶だよ」


 直緒が心配してくれてる。だけど私には、一人でここにいる全ての憎念を倒せる自信があった。


「大丈夫。私はこれに対抗しうる力を持ってるはずなの。だから、その確認をしたいの」


 その自信を確信に変えたい。そのためには一人で戦って確認しなきゃいけない。だから一人で戦いたい。


「確認って、確実じゃないなら尚更一人でにはさせられない!」

「私の力は私が分かってる。大丈夫。それにこれは私の問題だから、直緒は気にしなくていいよ」


 言ったように、私の力は私が一番分かってる。それを踏まえて、今回は別に直緒に出て貰う必要はない。


 そして私は、憎念に向けて走り出そうとする。するとそのとき、私を止めようとすべく直緒が手を伸ばす。


 私は大丈夫って言ってるんだから、直緒は手を出さないで!


 そう思った瞬間、伸ばした直緒の手を小さな雷撃が襲う。バチリという乾いた破裂音と共に、直緒は瞬間的に手を引っ込めた。


「雷光加速」


 私はそれを好機と見て、こう呟き、反射的に走り出す。


 駆け出した瞬間、私の目の前にある世界はその動きを止める。厳密には完全に静止しているわけではないが、私の目から見れば止まったも同然。


 桜の盛りを過ぎてただ散りゆくだけの桜吹雪は、落ちることに抵抗するようにゆっくりと、ゆっくりと落ちてゆく。か弱く羽ばたいていた蝶はその羽を更にか弱く羽根を羽ばたかせ、普段は見えないような羽根先の黒い模様までハッキリと見える。

 足元の風に吹かれてしなった花は元の位置に戻りたくないというように、非常にゆっくりと垂らしていたこうべを戻す。私のスタートに巻き込まれ、抉られた足元の芝は浮島となってそこに佇んでいた。


「これが、私の力⁈」


 眼前に展開している憎念どもは出来のいい蝋人形のように固まり、常に揺らめいてその形を定かにしない憎念霊体の姿ですら、その変化の仕方をじっくりと模写できるくらいに観測できる。


 今のところ、身体のどこも痛くない。それどころか、身体が軽い。頭に思い描いたそのままに、今なら動ける!


「これが私の力」


 私は攻撃の間合いへと入る。


 まず目の前にいるのは突出した三体の実体。その無防備な胸部に向かって、


「フッ」


 右!


「ハッ」


 左!


「ヤッ!」


 右! とスラロームのように殴りぬける。


 この状態であっても殴った感触はその手にしっかりと残る。実体が砕ける感触も、殴ったその反動も、そして何かに刺されたようなチクッ、という痛みも。


 ただ私に殴られた実体は少し仰け反るだけで、最初は消滅させられたかどうか不安だった。とはいっても、キチンと倒せているようで、普段は見えない実体の消滅するプロセスまで私の目には見える。でも普段は見えていないものが見えているだけであって、コイツらを倒すにはなーんにも役立たないけど。


 そのまま、奥の集団に向けてそのまま突っ込む。最初のスラロームと違い、奥に行けば行くほど実体は無秩序に溢れているといった感じ。


 それでも、向こうは無抵抗で動きもしないから、倒すのは簡単。一体一体相手の姿を確認して、常にベストな位置どり、ベストな構えで、


「スゥー」


 と呼吸を整える。


「ハイヤ!」


 と頭を蹴り飛ばし、


「ハアッ!」


 殴りやすい部分を殴る。仕留め損なうこと無く、全てが一撃。


 それに、この力を使うにあたってチャージしたエネルギーもまだまだ残っている。だから、私はこの大多数の実体に対して余裕を持って戦えていた。


 だけど、それがまずかった。


 約十体ほどを削って、そのまま今までと同じように実体を殴る。

 溜めた力の消費量も三割ほど。これならエネルギーを消費しきる頃には相手を全滅させられる、と思い余裕綽々。楽勝じゃん、なんて思って、楽観視してた。


 そのとき、どこらから


「ビリッ」


 という音が聞こえる、というより頭の中に響く。


 それと同時に刺すような痛みが右手を襲った。マイナスドライバーを手の甲にグリグリと押し当てられているかのような、鈍く尖った痛みが。堪らず私は握り拳を開いてしまったが、痛み自体はすぐ消えた。


 う、嘘? まだ三割しか消費してないのに、こんなに痛むの? これじゃ、余裕なんてないじゃない。痛みで動けなくなる前に、ケリをつけなきゃ私が終わる。

 この痛みは力の「反動」。そしてエネルギーの残量とは別の意味での、この加速した世界にいられる「タイムリミット」。


 その現実に直面し、焦りと不安が心に浮かぶ。試験で埋められない解答欄が大量に現れたときのような、焦りと不安。


 でも、やるっきゃない。やってやる! やってやる!!

 私にはできるだけの力が、切り抜けられるだけの強さがある。だから、できないわけがないんだ。


「私にはできるのよ!」


 そう自分に言い聞かせるように言い、刀を抜く。


 憎念に向かって、おもむろに駆け出し、出会い頭にその身体を一刀両断。それを皮切りに、死にものぐるいで斬り進む。


「エイ!」


 踏み込み、左肩から斜めに斬り下ろし、返す刀で別の個体の腹部に横一文字。


 その位置の後ろの奴を踏み込むついでに腹部を蹴り抜き、


「ハッ、ハッ、ハァッ!」


 刀を一突き、二突き、三突き!


 そのあとも足を止めず右に振り、胴体を斬り落とし、


「ウラァ!」


 左に刀を振り回し、スパッと斬り倒す。


 なるだけ手早く、そして広く憎念を消しとばす。


 動かない憎念など、居合で斬る巻藁と大差ない。だから斬り倒すのに、難しいことは何もない。

 だけど、急いで倒そうとも、急ぐ心に処理できてる数が追いつかない。いや、十体倒したときのペースよりは遥かに早く倒してるけど、早く倒さなくてはという焦りと、いつ動けなくなるのだろうという恐怖が感覚を狂わせていた。


 右足を引き、右脇に刀を構える。走りながら刀を振り上げ、


「一、二、三、四、五、六、これで七体!!」


 一気にまとめて斬りとばす。振り上げる途中に右手を離し、遠心力に任せて、左だけで振り抜く。


 そのとき、電気が走るような、ビリっという強い痛みが左腕を襲う。


「うっ……」


 その痛みに抗えず、刀が手から離れる。


「ヤバっ!」


 手から離れた刀は非常にゆっくりと、地面に向かって落ちてゆく。普通ならすぐさま手に取ることができるが、いかんせん左腕が痺れていうことを聞かない。


 でも、止まってられない。この調子だと、直ぐにでも痛みに倒れる。だから止まるわけにはいかない!


 刀の刃先、直線上には複数体の憎念がいる。それを見て、閃く。


「うぉらあ!!!」


 私は思い切り、宙に浮いてる刀の柄頭を蹴り飛ばす。雷を纏ったその刀は目にも止まらぬ速さで憎念の集団を貫き、消滅させる。


 この時点でチャージしたエネルギーの残量はもう三割を切った。能力的な限界も近い。それに、左腕も若干痺れが残ってる。しかも刀は蹴り飛ばしたから、遥か向こう。そんな状況で、敵の残りは十体ほど。


 私は勝負を決めるべく左腕を振り、痺れをなんとかする。そして決着をつけるべく、最後の集団に向かって走り、距離を詰める。


 そして、接敵しようとするまさにそのとき、踏み出そうとする右足に雷が走る。太ももの付け根から足の小指の先に向かって、ぶっとい針が刺さり抜けたような強い刺激。ビリビリと足全体が痺れる。そのせいで右足が全く動かず、右足が自分の足でないような感覚すら覚える。


 どうする? このままだと転ぶ。転んだらまず立てないし、そこは敵の中。そうなれば私の運命は火を見るよりも明らか。なら一か八かでもやるしかない。


 そう思った私は上体を思い切り振り下ろし、同時に左足で地面を蹴る。


「これで、どうだぁあああ!!!」


 そのまま地面に左手を、身体を捻りながら右手をぐるんと回しながら地面につき、逆立ちでグルグルと回転しながら、憎念を足に巻き込んで蹴り倒す。


 回転しながら周囲を見渡す。どうやら、この場にいた全ての憎念を倒し終わった。

 腕の力で態勢を立て直し、直緒の目の前へ飛び出す。


 その瞬間、全身の筋肉が攣ったかのような痛みが私を襲う。その痛みが落ち着くまで、私は俯いた姿勢から動くことができなかった。


 でも、そのことを直緒に悟らせてはダメ、心配させちゃいけない。


 それを隠し通すためにゆっくりと直緒の方に向き直り、


「ほらね、大丈夫だったでしょ? 私は一人で倒せて、直緒は傷ついてない。私の言った通り」


 とドヤ顔を作りながら、直緒に言ってみせる。

 だけれども、直緒は不安そうな顔をして聞いてくる。


「一体なにをしたの?」

「ちょっと本気出しただけ」

「本気?」

「うん。でも、今の本気はこんなもんだけど、まだまだ私は強くなる。それが今日確認できてよかった。これで、もっと、もっと、みんなを守れる」


 思ったことをそのまま言って安心させようと思ったけど、直緒の表情は曇ったまま。私たちの間に気まずい沈黙が訪れる。


「それじゃ帰ろうか。思いのほか早く終わったから、今の時間の講義間に合わないかな」


 絶対に間に合わないことは分かってるけど、冗談めかしく直緒に言う。


「それは無理そうだね」

「だね」


 そう言って、私たちは大学へと戻る。でも、その最中、負担の大きくかかっていた右足に耐え難い痛みが生じ、足がもつれてしまう。

 ちょっとだけそれが顔に出てしまったけど、多分直緒には気づかれてないはず。そうであってほしい。気づかれてしまうと、きった直緒に無理してるって思われてしまう。


 だってこれは無理なんかじゃない。ただの、ちょっとだけ限界を超えた努力なんだから。

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