ミオとの出会い(9)

「ミオ、あの時のことを覚えててくれたんだね」


「うん。あの時お兄ちゃんに優しくなでなでしてもらえて、それがすごく嬉しくて、お兄ちゃんのことが好きになったの」


「そうだったのか……」


「あれからずっと、また会いたいって気持ちになって、でも会えなくって、すごくさみしかったの。だからあの日、またお兄ちゃんが来てくれて、ボク……」


 ミオの頬を涙がつたう。


「今度はいつまで会えなくなるか分からないから、好きな人にめいっぱい甘えようって思って。えへへ、やっぱり変だよね、何も言わないで甘えてくるのって」


「ううん、そんなことないよ」


 そう言って俺は、ぎゅっとミオを抱きしめた。


「俺の方こそ、ミオの気持ちに気づけなくてごめんよ。これからは、ずっとずっと一緒にいような」


「ずっと、一緒にいてもいいの?」


「ああ。ミオさえよければ、ずーっと」


「ありがとうお兄ちゃん……大好きだよ」


「俺も。大好きだ」


 俺はミオを抱いたまま、あの時のように優しく頭を撫でた。


四年前、初めて会った小さな男の子が俺のことをずっと想っていてくれたのは意外だったけど、こうして再び逢えて一緒にまでなれたのは、ひょっとすると何かの運命なのかも知れない。


 ミオはつらい生い立ちを背負ってきた。それでも、くじけることなく、とても素直でかわいい子に育っている。


 これが親心か、恋心なのかは自分でもまだよく分かっていないけれど、とにかく俺は、そんなミオを改めて幸せにしてあげようと心に決めた。


さみしがりやで甘えんぼうで、子猫みたいな〝ショタっ娘〟がいる二人の生活。


お互いの心のうちと理解を深め合えた今日は、大切な再出発リスタートの日になったのだった。

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