ミオとの出会い(4)
「さ。ご飯できたよ、食べよう」
「はーい」
食卓に焼き立てのトーストとスクランブルエッグを並べ、コップには新鮮な牛乳を注ぐ。
今まで朝飯なんてまともに作ったことはなかったが、これもミオのためだと思って、ヘタはヘタなりに腕をふるってみたのだった。
「いただきまーす」
ミオはマーガリンとブルーベリージャムがたっぷり塗られた、カリカリのトーストを美味しそうにかじる。
よかった、どうやら今日も口に合ったみたいだ。
明日の月曜日からは、ミオが近所の小学校に通うことになることになっている。
朝食はこんな感じだし、夕食もスーパーの惣菜を買ってきて盛り付けてるだけだからすごく申し訳ないのだが、昼食だけは学校の給食があるので、栄養に関して心配することはないだろう。
ただひとつ気がかりなのは、大人への不信で心を閉ざしてしまったミオが、学校での共同生活になじめるかどうか、ということ。
もしミオが先生に反発したり、クラスメートにいじめられたりしたら、俺は一体どうするべきなのだろうか。
この子を引き取って一週間、もう俺の心境は完全に子供を持つ父親のそれである。
「ん? どうしたのお兄ちゃん」
ミオが不思議そうな顔をして尋ねてくる。
俺はミオのことを案じるあまり、いつの間にか食事する手を止めてしまっていたらしい。
「あ、いや。ちょっとな。明日からミオが行く学校のことを考えてたんだ」
「学校の?」
「うん。ミオが学校の勉強に馴染んでいけるかとかさ、いろいろな」
俺は微妙に答えをはぐらかした。
あんまりストレートに学校生活のことを考えていたと話して、変に意識させてしまうのはよくないと思ったのだ。
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