麦わら帽子

勝利だギューちゃん

第1話

夏休みを利用して、旅に出た。

といえば、きこえはいいが、ただの逃げ。


せちがない社会から解放されて、リフレッシュしたかった。


山奥の駅に降り立つ。

「涼しい」

第一印象がそれだった。


ベンチに麦わら帽子がおいてあった。

誰かの忘れ物か・・・


不思議と気になり、その麦わら帽子を手に取る。

それほど、大きくない。

12~3歳の女の子ようか・・・


駅の外に出ると、タクシーが一台停まっていた。

僕はタクシーの乗り、目的地まで向かう。


運転手さんに、停めてもらうように、嘆願する。

タクシーが停まり、僕は外へ出た。


久しぶりに来た。

前に来たのは、いつだったか・・・


遠い昔のような、最近のような、そんな感じだった。


ここに永住しようか

真面目に考える。


『だめだよ、それは』

懐かしい声がする。


『久しぶりだね、元気だった?』

そこには、ひとりの少女がいた。

まだ、中学生くらいだった。


『大きくなったね、涼』

笑顔の影に、悲しさがあった。

その悲しさが何を意味するのかは、すぐにわかる。


『私の事、わかる?』

僕は、頷いた。

もちろんだよと・・・


『ハハハ、何だか疲れちゃってるみたいだね』

何だか、懐かしい・・・


『涼、だめだよ。あなたには、待っている人がいるんだから』

この待っている人というのは、おそらく未来の奥さんの事だろう・・・


『私に、会いに来てくれたのは嬉しいけど、私はもう、過去の人。

いつまでも、こだわったら進めない・・・』

彼女は、僕が来た目的を、当たり前だが、理解している。


そう、彼女に会いに来た・・・


『あっ、麦わら帽子、拾ってくれたんだ。ありがとう、涼』

そうか・・・見覚えあるかと思っていたら、彼女のか・・・

僕は、手渡す。


『似合う?』

僕は頷いた。


『じゃあ、行こうか・・・私に会いに・・・』

僕は彼女の後をついていった・・・


『一晩だけだよ。明日からは、涼の生きる世界に帰ってね・・・

疲れた時は、また会いにきていいから・・・』

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麦わら帽子 勝利だギューちゃん @tetsumusuhaarisu

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