結末と講義と馬鹿話(5)


 同盟暦2088年10月1日。

 ダンジョン実習を明日に控えた火神浩一は準備作業を行った。

 治療薬や回復薬などの探索アイテムの補充、地図や出現モンスターの確認、さらには代刀である毒刀『雲霞緑青くもがすみろくしょう』を身体に慣らすための鍛錬。

 それらの作業を確実かつ、手早く午前中に済ませた浩一は、受講している座学の授業を受けるためにアーリデイズ学園の講義棟を訪れるのだった。


                ◇◆◇◆◇


『魂を司る色属性、肉体が持つ生体属性、人工精霊や魔導の加護を受けられるかの資格を示す祝福属性。人類はこの三属性を生まれつき持っており、それらの強弱によってある程度は成長の指針を決めることができる』

 何百人という生徒を収容できる大講堂での講義は禿頭の教授によって行われていた。

『さて、皆にとっては常識だろうが魂の色たる色属性は現在『赤』『青』『緑』『白』『黒』の五色が確認されている。生まれつきの容量や出力が決まっているこの属性は、肉体改造によって影響を与えることはできないし、鍛錬などでも出力や容量の限界を超えることはできない』

 禿頭の教授は、そこまで言ってから『生まれつきの才能に依存するしかないのだ』と言い切った。

『しかし、この属性は魂という観測できないはずのものを『』にして外界に出力することができる強力な異能でもある。強力な属性を持っている者は人類の中にはそう多くはない。だからこそ色属性に特化した者はこれらを修練し、技能として習熟することで、自身の専攻科における強力な武器とすることもでき――』

 これは『色属性概論Ⅰ』という基礎的な講義だった。

 アーリデイズ学園にある大講堂、コの字型に並んだ椅子と机の中心で、人が持つ属性の基礎について禿頭の教師が講義をしている。

 浩一は学生の常識とも言えるそれを聞き流しながらPADを操作し、学園都市のニュースをナノマシンを通して、脳に直接を流して眺めていた。

 浩一にとってこれは単位取得のために受けている講義であり、すでに知っている内容であるために聞き流しても構わなかった。

 PADに表示した学内ニュースサイトに昨日の商店街での事件を見つけ、詳細を開こうとするところで通路側の床から浩一は腰をつんつん、と指でつつかれた。

 誰だ? と浩一が椅子の下を見れば、床に這い蹲っている金髪の学生が見える。知り合い・・・・だ。

「よッ、浩一。最近どうよ」

「なんだ。おまえか」

 講堂の入り口から背を屈め、侵入した金髪碧眼の角刈りの生徒の名はヨシュア・シリウシズム。

 浩一と同学年。新聞部所属の生徒だ。ヨシュアは教師に気付かれないよう注意しながら、浩一の隣に空いていた席にごそごそと這いつくばりつつ座った。

「なんだ、はないだろ? せっかく親友のお前のために面白い情報持ってきたのにさぁ」

「ふぅん。まぁ、いいから黙ってろよ。教授に気づかれるぞ」

 手斧と金属製の筒を腰にぶら下げ、赤のジャケットを羽織り、ジーンズとよれよれの青いシャツといった風体のヨシュアは浩一の言葉に慌てて教授のいる方向を向く。

『随分遅い入室だな。シリウシズム』

「すいませーん。でもせんせーい。こんな真っ昼間っから眉間にしわ寄せて怒ってるとちょぴっと残った頭の毛も吹っ飛んじゃいますよぉ」

『ほぅ。面白い冗談だな。さて、そんな君に問おう――私が語った属性についての問題点を簡潔に答えてくれ』

 基礎の講義であるためか、大講堂の中にいる生徒は浩一やヨシュアより随分と年下の少年少女が多かった。

 そんな彼ら彼女らの視線が講義中に騒ぎ、あまつさえ教師に軽口を叩いたヨシュアに集中する。

 入ってきたばかりなので何について講義をしていたのかも知らない友人が、苦笑いをしつつ助けてくれと浩一に視線を向ける。

 ここで無視するのも選択肢の一つだったが。

「これは貸し一だぞ。ヨシュア」

 ため息をついた浩一は、教師から見えず、友人には見える位置に講義内容のウィンドウを表示させることで手助けをするのだった。


                ◇◆◇◆◇


 講義終了後、浩一とヨシュアの二人はアーリデイズ学園の中庭で立ち話をしていた。

「いやぁ、サンクスサンクス。あのコッパゲもいい加減増毛はあきらめりゃいいのになぁ」

「禿げた原因は、色属性研究での事故だからな。それに損傷した魂の治療方法は学園都市の最優先研究項目だ。第一線の研究者だからこそ諦めきれないんだろうな」

 ヨシュアはその場で酔っ払ったような下手糞なステップを踏むとびしっと親指を立てた。

「相も変わらずツマラン野郎だな浩一は。ウィットに富んだ小粋なジョークでも言って俺を楽しませろお前は」

「あぁ? 帰っていいか?」

 浩一の冗談には見えない真顔での返答にヨシュアはうげげと身体を反らせた。

「ごめん。嘘です。ジョーダンです。だから聞いて。俺の話を聞いて」

 ヨシュアの殊勝な態度になんの反応も示さない浩一はPADから学内情報を開き、連絡事項や伝達などを確認していく。

「ちょッ。もろ右から左に受け流す態勢ッ」

「ちッ、これでいいだろ。聞いてやるから早く言えよ」

 棒読みで返答した浩一は、耳に手を当て、頭だけヨシュアの方へと寄せてやる。

「お、俺の扱いぞんざいすぎねぇ!? つか、なんでそんなに偉そうなんスか。このまえ飯おごったっしょ。あと二十階層のモンスターデータくれてやったっしょ」

 真顔で首を傾げる浩一。ヨシュアはわざとらしく後ずさりしつつ、ひきませんよー、ひきませんよー、とやけくそに言い放った。

 さすがにこれでは話が進まないかと浩一は妥協したかのように頷いた。

「わかったわかった。真面目に聞いてやるからお前そこでコーヒー買ってこいよ」

「パシリッ!? しかも命令ッ!?」

「ワンって鳴けよ。ほらお手」

「犬扱いかよテメェ! 畜生! てめぇこら浩一! おめぇなんか、ケツ毛がもっさりしちませばいいんだー!」

 漢泣おとこなきしながら走っていくヨシュアの言葉に、流石に苛め過ぎたかと、浩一は自分の尻を着流し越しに恐る恐る撫でるのだった。


                ◇◆◇◆◇


「ヨシュア。ああいう実現しそうでしないような冗談は実現したら困るから言うな。頼む」

「もっさりか?」

「ああ、もっさりだ」

 ヨシュアの買ってきた缶コーヒーを片手に、浩一たちは学内の各所に設置してあるベンチのひとつに座った。

「もっさりしてるのか?」

「幸運なことにもっさりしてないが。お前のせいでもっさりしたら困る」

「そっか。俺のせいか」

「しないからな。確定したように話してるが、もっさりはしないからな」

「生えればいいのに……」

 ぼそりと言われた言葉に対して、かちり、と浩一が刀を鳴らす。

「ま、待て。刀は抜くな。刀は」

「冗句だ。機知に富んでウィットの利いた、な」

「ち、違う気がするぜ浩一」

 怯えられ、さすがに冗談だよ、と肩をすくめる浩一。

 そんな浩一に調子を取り戻したのか、ヨシュアが「そういえば」と言いながらにやにやとした視線を向けた。

「なんだ? その含みのある視線は?」 

「またまたぁ。聞いたぜ聞いたぜ。噂になってるぜ。お前があの、リフィヌスのお嬢様に膝枕してもらったってよ」

「膝枕って、目の治療をしてもらっただけだが。なんだ? そんなに大したことだったりするのかソレは?」

 ヨシュアがすっと腕を振ると、浩一の前にウィンドウが浮き、動画が表示された。

「撮られていたのか……」

 そこには浩一の頭を膝に乗せ、目の治療を行っているアリシアスの姿が映っている。

「有名っていうか、リフィヌスは四鳳八院のひとつ、リフィヌスの次期当主だぜ? 元反逆者側だったってのと人嫌いもあって寄り付く人間は少ねぇが、学園都市に流通してる薬品系の基礎開発はリフィヌスの傘下企業のSEIDOUの特許使ってっし、聖堂院の遺産管理やら残った血族系の分家連中の支配も完璧だ。それになんだ。超可愛いしな」

「……可愛い、のか?」

「超かわいいだろーーー!!」

 結局、まともな状況で顔を見る機会のなかった浩一が首を傾げれば、ヨシュアは「うっそだろ。めちゃめちゃかわいいじゃん」と事件の映像をズームした。

 浩一の頭を膝に置いたアリシアスを顔がアップされる。

 あの状況で録画やら撮影やらをしていた観衆の胆力に浩一は、ほぅ、と感嘆しつつ、アリシアスの顔を初めてまともに目にした。


 ――あのときの浩一は、完全に戦闘態勢だった。


 美的感覚は遠いものになっていた。アリシアスがどれだけ美しくてもそれはの特徴の一つでしかなかった。

 だが映像の中のアリシアスを見て浩一はほう、とため息を漏らす。確かに、美しい・・・

 聖女のような慈愛に満ちた表情で浩一の瞼を撫でる美しすぎる少女がそこにはいる。

 その指先には色属性のひとつ、概念再生の『青』属性の光が瞬いていた。

 これだけを見れば、アリシアスが虫を殺すように、三人の男に自害を命じたことなど信じられる者はいないだろう。

(そうだ。あいつはなぜあんな真似ができる? こんな世界で人を殺してなんになる?)

 停止した映像を眺める浩一へ、にやにや笑いを顔に貼り付けたヨシュアが茶化すように言う。

「で、こーいちくんはなんでリフィヌスに『至高なる看護』なんぞ受けてるわけよ?」

「『至高なる看護』って、なんだそれは? 事件の後に眼球の治療をしてもらってたのは確かだが、そんな大層なもんは受けちゃいないぞ」

 スキル名にも似たそれを聞き、浩一の眉が困ったように寄せられた。

 浩一があの場で受けたのは簡単な『青』属性による眼球の治療だ。

「違いますよー。スキルじゃありませんよー。パーティーに雪ちゃんだけしかいない浩一にはわからんのかもしれないけどね。回復職が膝枕で治療してくれるってのは、かなりの信頼やらなんやらを勝ち取らないとやっちゃくれないものなんだぜ? つかよー、俺には、いっちゃん親しいうちのクランメンバーの奴らでも俺にやってくれる奴なんざいないしねーし。どういうことだよ! クソがよー!!」

 都市でもそこそこの規模のクランに所属するヨシュアはつまらなそうに言う。そうしてから写真を見て再び首をかしげた浩一を見て「クソリア充が」といった風な憎しみの篭った微笑を浮かべた。

「で、だ。やんごとなき身分の美少女を篭絡した浩一くんに聞くぜ? お嬢様の膝枕はどうだった?」

「普通だろ。膝に硬いも柔らかいもあるか。というか、なんだその、籠絡ってのは?」

 冷静かつ冷ややかな視線を浩一はヨシュアに向けた。だが、その心中は動揺していた。たまに世話になる五十代半ばの男らしい校医がしきりに膝を薦めていたのはそのせいか、と恐れおののいていたのだ。

 浩一は男に膝枕などしてもらうつもりはなかったため丁重に断っていたが、意味がわかっただけに恐怖も一入ひとしおであった。

「バッカ。おまえ、膝枕をなめんじゃねー。アレだぞ。マジやばいらしいぞ。もちろん俺は一度もしてもらったことないけどな。鳳燕ほうえん貫之かんじ閣下主催の『女子学生神術師の膝枕を堪能する会』なんてものも裏ではあるぐらいなんだぞ。で、だ。これ膝枕して欲しい女子上位ナンバーな。シークレットで今回お前が堪能したリフィヌスも入ってるから」

 渡された紙を見れば、都市内の女子学生をランク付けしたプロフィールなんてものが載っていた。

 ランク基準が戦技ではなく(膝の)柔らかさ:S (心に広がる)やすらぎ:S (荒んだ心の)癒され度:S (実際の)治癒:S (他の男どもへの)優越感:A (見上げた顔の)美しさ:S 総合ランク:S などというくだらなすぎて泣けてくるものだったが。

「ちなみにそれはアーリデイズ学年二十二の次席、戦技SSランクのレイン・療道りょうどう・ソルシュ先輩のデータな。わざわざ中将閣下が直々に小芝居してまでやって貰って得たデータだぞ。すげーだろ」

「別な意味でな。で、疑問なんだがなんで優越感だけAなんだ?」

「ん、ああ。命に関わる重傷を自ら負った閣下が『至高なる看護』でなけりゃ治療は受けんと言い張っただけで膝枕してくれたからな。地位の高さだけで膝枕を許すようじゃ優越感Sにはまだまだだぜ」

(ちゅ、中将閣下直々……。大丈夫なのか? 学園都市)

 浩一が一人悩む間にもヨシュアの話は続く。

「ちなみにリフィヌスのお嬢様は優越感:EXな。あのお嬢様の場合、閣下の小芝居、ってもちゃんと重傷負うけど。その程度なら鼻で嘲笑ってすれ違いの治癒魔法。駆け寄りもしません。ちなみに中将閣下ご自身の泣き落としやら脅しやらなんやらも華麗にスルーという完璧っぷり。だからEX。お前以外の誰にも膝を許してなかったわけよ」

「うん、だからなんなんだ? 馬鹿の集まりかそれは?」

 呆れた視線を向ける浩一にヨシュアはコーヒーをちびちびと啜りながら「わからないのか? こんな簡単なことが」と浪漫を理解できない浩一を、信じられないものを見る目で見つめ返す。

「というかだなヨシュア。都市国家ゼネラウスの中将様で八院の上位血族たる四鳳の閣下様なんだから、無理やり命令すりゃいいだろ? なんでわざわざ小芝居する必要がある」

「馬鹿か浩一。命令したら意味無し。その時点で鳳麟ほうりん三界さんがい大将閣下の『女子学生に身分を嵩に着てイロイロ命令する会』の領分になっちまうだろうが。ちなみにリフィヌスお嬢は冗談はわかってもマジな命令の場合マジ怖い人だから未だに膝は許してないぞ。よかったな」

 なんだその初恋の女が処女でよかったね的なニュアンスは、と浩一は思ったが。何も言わずにちびちびと缶コーヒーに口をつけるに留めた。ちなみに大将と中将が主催する会に対抗するために鳳亀ほうき桜花おうか少将が発足させた『大将と中将の馬鹿騒ぎを力ずくで押さえ込む会』というのもあるが、学園都市の裏側で日夜暗躍するこの三つの会を知るものは意外にそう多くはない。

「で、だ。話ってのはこれだけか?」

 浩一がため息を吐く。男臭く、汗臭い笑みを浮かべたヨシュアはにやりと笑って頷こうとするも、浩一の目が馬鹿な話を聞きすぎて荒んでることに気づき、慌てて首を横に振った。

「いやいや。そんなことないっスよ。あっはっはっはっは」

 言いながらPADを慌てたように操作し始めたヨシュアを見て、浩一は絶対茶化すつもりだったと確信する。

「それで、他に何があるんだ?」

「そうだなー。浩一には関係ないと思うが」

 先ほどからの馬鹿顔から真剣な顔になるヨシュア。真面目な話だと予想して、浩一も耳に意識を集中する。

「二日前、ダンジョン実習でAランクパーティーが全滅した。アリアスレウズの三十六階層でだ」

「ああ、被害は三十人だったか」

「知ってたのか? まだ非公開のはずだが。新聞部も壊滅したパーティーの待機メンバーのタレコミで知っただけだぞ?」

「智子サンからの情報だ。俺なら勝てる、なんてふざけたこと言ってたがな。一昨日、ミノタウロスを倒した俺に何を言ってるのかって話だが」

 へぇ、と驚いた顔をするヨシュア。峰富士智子が浩一に嘘をつく理由はない。そして浩一がヨシュアに見栄を張る理由もない。

「他に何か言ってたのか? こっちも相手がミノタウロスってのは初耳だ」

「さて、な。俺も話半分にしか聞いてなかったからいまいち」

 それが重要なんだ、とヨシュアは思った。

 峰富士智子は適当な推測を並べ立てる女ではない。その誇り高い性格と高すぎる知能が紡ぐ言葉には必ず真実が混じっている。

「なんでもいいから教えてくれよ。な、今度学食のランチおごっからよ」

「飯はいいわ。中央公園での美味い狩場の情報よろしく。ってもなぁ、ほんとに些細な事の上、俺自身が話半分だったからな」

「てめぇの認識なんざどうでもいいんだよ。情報よこせやこらッ、あ、ごめん。ホントゴメン。嘘です。浩一くんサイコーカッコイーステキー」

 商売っ気を出してしまった自身を戒めつつも米搗き飛蝗のように腰を低くするヨシュア。浩一に呆れた目で見られながらも彼は上目遣いで浩一を見上げる。ぱちぱちとまばたきをしながら。

「気持ち悪いからやめろそれは。智子さんが言うには、俺なら欺瞞に騙されずに戦える、とさ。教えてもらってたのはそれだけだ」

「欺瞞? ってことは幻影使い? フェイント技でも多用するとか? つかそれだけ?」

「こんだけ。ま、俺には当分関係ないからな。三十六階層とかたどり着く前に死ぬ。それに幻影とか、そんな直接的なアドバイスはしないだろうよ、あの人は」

「そらあの峰富士博士がそんな単純な忠告するわけないよな。うーん、なるほど、いや、これだけでも記事にはできるから助かるぜ」

 にかっと笑うヨシュアに呆れたような視線を向けた浩一はコーヒーを啜ろうとして中身がないことに気づいた。ゆらゆらと缶を揺らして、中身が残ってないことを確信して立ち上がる。

「じゃ、俺はそろそろ行く。忠告しようとしてくれたことだけはありがとな」

 それを聞いたヨシュアがわざとらしく頬を染め、浩一から視線をそらした。

 嫌なというより奇妙な気色の悪さを感じ、後ずさる浩一だが遅い。

「別に、アンタのために伝えたんじゃないわよッ。アンタについてく雪ちゃんが心配だから伝えたんだからねッ!」

「女声マジキモイ。やめろ」

「てへッ。って、ちょ、刀ストップ。つかそれ毒刀ッ!? や、やばッ。アタシ死んじゃうわッ!」

「アタシだと! てめッ! まだやるかッ!」

 ぎゃーぎゃーわーわーと校舎の片隅に男達の喚き声が響いていく。

 アーリデイズの校舎を、シェルター外壁を透過した夕日の明かりが赤く照らしていた。平和な学園都市の夕方だった。


 そうして――


「つかな。特殊なモンスターだろうが、モンスターは十階層以上のダンジョン内移動はできんように調整されてるしな。ま、大丈夫だろうよ」


 男は――


「ハハハ。確かに、ああ、そうそう。そのうち中将閣下から直々にアリシアス嬢の至高なる看護の感触について、アンケートメール届くかもしれないけど。謹んで受け、正確な内容を返すべし! それが男同士の絆だからな!!」


 油断の代償を――


「それでいいのかッ! 学園都市ッ!」


 ――その身で支払うことになる。



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