第十六話

登場人物紹介

 キヨシ……職業不定。カバンの中に文庫本をよく入れている。

 ジロウ……職業勇者。カバンの中にお菓子をよく入れている。

 ヒデオ……職業賢者。カバンの中に携帯ゲーム機をよく入れている。

 ララ ……女神。顔のわりにカバンの中汚そうとよく言われる。



ララ「そう言えば、魔王城に入る前に荷物の確認をしましょう」


ヒデオ「ああ。確かにラスボス前ってアイテム確認とかするもんな」


ジロウ「じゃあ俺からな」


 カバンからゴソゴソといくつかのアイテムを取り出すジロウ。


ジロウ「まずはポテトッチプス、チョコレート、グミ、ガム……」


キヨシ「お菓子ばっかりじゃねーか」


ジロウ「安心してくれ。全部で三百円以内に収めているからな」


キヨシ「遠足かよ!」


ララ「まあ、食べ物は重要ですからね。ヒデオさんは?」


ヒデオ「えーっと、寝袋、テント……」


キヨシ「……キャンプ道具っぽいけど、日帰りじゃないダンジョンとかなら必要かもな」


ヒデオ「それとアウトドアチェア、コンロ、トング、お肉……」


キヨシ「バーベキューでもすんのか⁉」


ララ「まあ、腹ごしらえは大事ですから。……では次は私ですね。私は冷蔵庫、洗濯機、炊飯器にテレビを持ってきました」


キヨシ「新生活でも送るつもりか!つーかどうやって持ってきたんだ⁉」


ララ「では次はジョンさんですね。どうですか」


ジョン「私はですね……」


 話を向けられ、三十歳くらいの男が話し出す。


キヨシ「いや、お前誰だよ!」


ララ「かつてこの世界にいた有名な英雄がいるんですが、このジョンさんはその英雄と同じ男性なんです」


キヨシ「……だから⁉そんなこと言ったら俺たち三人も同じになるけど⁉」


ジョン「まあ、任せてください。一押しの物を持ってきましたから。まず、あの英雄がかつて使っていた剣……で斬られた巨大な岩のかけら」


キヨシ「剣じゃねーのかよ!」


ジョン「そしてあの英雄が装備していた伝説の鎧……と同じ色のハンカチ」


キヨシ「全然関係ねーな!」


ジョン「いえいえ。これを使えば、洗った濡れた手をふくことができます」


キヨシ「いやそれどのハンカチでも同じだろ!」


ジョン「そしてさらにあの英雄が使っていたらいいなあ、と思う盾」


キヨシ「願望になっちゃったよ!」


ジョン「あの英雄の魔法使いの仲間が使っていたものに似ている杖……らしきもの」


キヨシ「せめて杖そのものくらいは持ってこようよ!」


ララ「さ、準備万端ですね。いざ魔王城攻略と行きましょう!」


キヨシ「不安しかないけど⁉」



第十六話おわり


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