第36話 貴方へ

奈々と歩く。

その道はまるで光り輝いている様に見える。

例え.....奈々がこの先どうなっても.....心の底から守るつもりだ。

目の前の奈々を見ながら.....そう思う。


「水着選ぶの付き合ってくれて.....有難うございました」


「別に大丈夫だ。お前が好きな事をしてくれ」


するとまるで風に乗ってひるがえしたかの様に俺を見てきた、奈々。

俺は?を浮かべながら.....見る。

奈々は俺に笑みを浮かべていた。

まるで.....太陽の様な笑みだ。


「.....私は幸せ者ですね」


「突然にどうした」


「.....翔太さんと付き合って.....それから.....デート。本当に幸せすぎます」


「.....」


次、何処に行きましょうか。

と口角を上げながら俺をニコニコして見てくる奈々。

俺は.....そうだな、と顎に手を添える。

それから.....考える。


「じゃあ俺の買い物に付き合ってくれないか」


「.....え?あ、良いですよ。どんな買い物ですか」


「.....それは見てのお楽しみだ」


「.....???」


奈々はクエスチョンマークを浮かべながらも付いて来る。

俺は確か.....この先にウェディングの恋人限定のやつが有ったよな。

と思いながら.....歩き出す。

奈々を見ながら、だ。


そこで奈々に着せてやろう。

ウェディングの衣服を。

奈々はきっと喜ぶと思うから。



「ここは.....結婚式会場?」


目をパチクリする、奈々。

それはそうだろうな。

俺は笑みを浮かべながら誘う。

そして俺は自らの腰に手を当てた。


「.....正確に言えばウェディングドレスを選ぶ場所だ」


「.....えっと.....え?どういう.....」


「.....結婚式の模擬体験してみないか」


「.....え?」


奈々の目の涙が浮かんだ。

そして.....そんな事して良いんですかね?と涙を流す。

俺はそんな奈々の頭に手を添えた。

大丈夫だ、と、だ。

流星には帰ったら話そう。


「.....奈々。正直.....お前の事が心配だ。だから幸せを多く届けたいんだ。そんな事を言って良いのかどうかは分からないけどな」


「.....でも.....私.....」


「.....良いから着てみろ。ハハハ」


そしてカウンターからブライダルの人がやって来る。

その人にかくかくしかじかと説明したら。

特例で未成年だが認められた。

俺は奈々の手を握る。


「.....奈々。俺からのお願いだ」


「.....じゃ.....じゃあ着てみようかな.....」


奈々はブライダルの人に案内されて去って行った。

俺はそれを見送ってから背後を見る。

そそくさとあちこちに隠れているバカ共が居た。

俺は盛大に溜息を吐く。


「出て来い。安藤」


「.....何だ。バレてたか」


「当たり前だろ!このボンクラ!」


いつまで付いて来るつもりだこのアホンダラ!

と安藤の首を締める。

安藤は、お、俺だけじゃねぇ!、と争った。

は?俺だけじゃ無い.....?


「お兄ちゃん」


「.....おま.....流星!?」


気になったから付いて来ちゃった。

と言いながら、テヘヘ、と頭に手を添える。

何をやっているんだ安藤、貴様.....と首を締める。

安藤は苦しいわ!アホ!と言葉を発した。


「.....流星ちゃんと偶然に会ってしかもお前を見掛けたから追跡せざるを得なかったんだよ」


「それでお前.....追跡して来るとか.....」


「.....悪い事はして無いぞ!」


当たり前だ。

そんな事をしたら殺すぞ。

考えながら安藤を見つめる。

流星も、あはは、と苦笑した。

すると会場の奥から声がして来て.....。


「ヤッベ!隠れないと!」


「そうですね」


「お、オイ!?」


忍者の如く去って行った。

俺は止める暇も無く。

再び盛大に溜息を吐いた。

そして背後を見る。


「.....!!!!!」


「.....ど、どうですか」


純白のドレスだった。

天使ドレスと言えるかも知れない。

胸元の露出は控えめで、頭にヴェールが乗っている。

頭が整えられていた。

俺は真っ赤に赤面する。


「.....綺麗だ」


「.....!.....あ、有難うございます.....」


何この初々しいバカップル。

俺達.....。

考えながらも.....本気で綺麗な奈々に赤面した。

やはりこの場所に連れて来て正解だったな。

思いながら.....奈々の手を引く。


「.....結婚してほしいもんだな」


「.....翔太さん。それは駄目ですよ。りゅーちゃんも考えないと。ね?りゅーちゃん!」


と大声を張った。

俺は驚きながら.....その方角を見る。

先ほど、流星と安藤が隠れた場所だ。

流星が困惑しながら出て来る。


「.....き、気付いてたの?」


「当たり前だよ。友人同士なんだよ?.....ちょうど良いし、りゅーちゃんも着てよ。ドレス」


「.....え.....」


でも私は.....と困惑するその手を奈々は引っ張った。

それからブライダルの人に頼む。

半ば無理矢理な感じで、だ。

俺は苦笑した。

そして奈々はまた安藤が隠れた方向を見る。


「安藤さんも居るんですよね?」


「.....バレてたのか.....」


「安藤。無理が有るわ。お前の体格じゃな」


「あはは」


そして安藤と共に連れて行かれた流星を待つ。

それから流星が出て来た。

それは.....かなり綺麗なドレスだ。

ヴェールも綺麗な、だ。

ただ、やはりパターンを変えてくれている。


「.....は、恥ずかしい.....んだけど.....」


「あはは。りゅーちゃん綺麗だよ」


「.....」


安藤は後ろにぶっ倒れる。

コイツ馬鹿かと思いながらも確かに綺麗だった。

こんな美少女達が俺を好いている。

その事にまた赤面せざるを得なかった。


「.....お兄ちゃん.....どうかな」


「.....マジに綺麗だ。二人とも」


決めかねる。

ゴメンと思いながら口に手を添えた。

マジに綺麗だと思う。

そうしているとブライダルの人が提案した。


「あの、もし宜しければお写真をお撮りしますが。如何いたしましょう」


俺は、え?、と困惑する。

奈々と流星は顔を見合わせてから頷き合った。

それから.....奈々は言葉を発する。

流星は?を浮かべる。


「.....じゃありゅーちゃんから。ね?」


「え.....いやいや.....今のデートは.....」


「良いから良いから」


グイグイ押される形で.....俺と写真を撮った流星。

頬は真っ赤に染まっていた。

俺はそれを見ながら.....柔和な顔をする。

それから.....奈々とも写真を撮った。

最後に.....皆様、とブライダルの人が誘ってから写真を撮る。


良い思い出だな、と思った。

奈々が幸せなら.....もっと良いんだがと思いながらの写真だ。

俺は笑みを浮かべた。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

義妹の友達がかなり俺に接して来るんですが俺は恋愛が嫌いです アキノリ@pokkey11.1 @tanakasaburou

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ