第34話 安藤警報

流星、そして.....奈々と。

俺は.....彼女達に支えられ。

そして彼女達を支え、今に至った。

第一歩を踏み出した気がする。


俺は奈々の家に泊まってそして.....翌日になった。

特に問題は無く、俺は奈々と一旦別れて。

そして.....家に戻って来た。

流星が複雑な顔で俺を迎え見てくる。


「.....奈々.....これで良かったのかな」


「.....お前が俺を好いている。その気持ちを尊重したかったのは事実だろう。だから.....ライバルとして見ているんじゃ無いか。お前を。これで良いと思う。奈々は好きな事をやれて嬉しいと思っているよ。お前の本音も聞けて嬉しいって」


「でも私.....お兄ちゃんと奈々が上手くいっていたのに.....水を指した.....やっぱり馬鹿だったって思う。心の底から.....!」


流星の手を握った。

そして俺は和かに流星を見る。

流星は涙を浮かべて俺に向いていた。

そんな流星に話す。


「流星。本音を隠すのは良く無いと思う。奈々はお前が本音を話した事が最も嬉しかったんだよ。俺と付き合うよりも。それにこれは水を指したんじゃ無い。奈々は.....初めっからこうする気だったんだと思う」


「.....そうなのか.....な.....でも.....」


「こうなっちまった以上はもうお前らに任せる。俺も影からサポートはするけどな」


流星は涙を拭って。

そして俺を真剣な顔で真っ直ぐに見て来た。

その姿を見ながら.....俺は一先ずは、大丈夫だな、と思う。

流星も.....強くなった気がする。

その様に思いながら俺は家の中に入ろうとした。

すると。


「.....じゃあお兄ちゃん、今日、買い物に付き合ってくれない?」


「.....え?きょ、今日.....ですか?」


「何?嫌なの?」


「.....」


プクーッと頬が可愛らしく膨れる、流星。

俺は青ざめて考える。

今日は奈々との先約が有るのだ。

どう.....したら良いのだ?

思いながら.....流星を見つめる。


「.....すまん。今日はちょっと。今度な」


「.....何で?」


「何でと言われてもな.....」


「.....ふーん.....まあ良いけどね。今度でも」


と、流星は諦めた様に声を上げる。

詮索する様な真似はしない様だ。

俺は流星を見ながら.....有難うな、と言った。


すると階段を上がる流星は俺を見て、良いよ、と笑みを浮かべる。

その様子に.....俺も柔和になった。

空を見上げてみる。


「.....良い天気になった」


「そうだね。確かに」


そして俺達は.....家の中に入る。

それから俺は準備を開始した。

取り敢えず、遅刻は如何なものかと思うので急がないと。

その様に思いながら.....鍵の写真を見る。

鍵にはいつも.....世話になっているな、と思いながら。


「.....鍵。行って来ます」


写真の中から行ってらっしゃいと言ってくれた気がした。

俺はそれを受けながら。

鞄を持って、急いで流星に用事が有ると説明してから。

帰って来たら話す気を持って走って行く。



「あ、翔太さん」


「.....奈々。遅くなったか?すまん」


「いえ、私も今来た所です」


駅での待ち合わせ。

俺は少しだけ汗だくになりながら。

奈々を見る。


カジュアルな服装だが、少しだけ防寒。

そんな感じの帽子も有る服装だ。

走ったもんだから.....暑い。

すると奈々は俺にハンカチを渡してきた。


「風邪引きますよ。これで拭いて下さい」


「.....え?いやしかし.....俺は男だし.....これぐらい」


「関係無いです。翔太さんが風邪引くのが一番嫌です」


「.....分かったよ。奈々」


俺はハンカチを借りて。

それから汗を拭おう.....と思ったら。

奈々はハンカチで俺の汗を拭い始めた。

ちょ、ちょっと待ってくれ。


「.....自分で出来るって!」


「良いから。私の大切な人なんですから」


「いやいや.....」


何だこのバカップル的な感じで見られているし。

中年の親父とか男子中学生とかそんなんが。

恨めしいという感じだ。

俺は苦笑して思いながら奈々を見る。

奈々はニコニコしていた。


「.....良い感じでカップル演出、出来てますかね?だと良いんですが」


「.....いや、お前.....仕組んだな?」


「ふふっ。さぁどうでしょう。.....じゃあ行きましょうか。翔太さん」


奈々はその様に八重歯を見せてニコッとしてから。

俺の腕に自らの腕を絡ませた。

赤面しながら奈々の体温を感じる。

贅沢過ぎる感じだな、本当に。


と、思った時だった。

背後に何か.....漆黒の気配を感じ。

俺は一瞬、振り返った。


「.....?」


「どうしたんですか?翔太さん?」


「.....いや.....何か.....安藤の視線を感じた気がした.....」


「え?」


周りを見渡す、奈々。

俺の頭で安藤を察した警報が鳴る。

多分、気のせいだろうけど。

でも.....何だか嫌な冷や汗が出るんだが。


あの野郎.....まさか付いて来ている訳じゃ無いよな?

思いながら俺は.....前を見て切符を買い。

そして電車に奈々と共に乗った。

取り敢えずは大丈夫だろう、と言い聞かせながら。

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