第28話 体育祭、中止 & etc.....。

体育祭の昼休み。

俺は聡子さんと父さんなどなどと一緒に。

白夜、河瀬達と囲んで飯を食べる。

サンドイッチだが.....腹に溜まるな。


肉が分厚いお陰だろう、助かる。

俺は思いながら聡子さん特製の弁当で疲れた身体を癒しつつそれを頬張っていると。

流星が寄って来た。


「お兄ちゃん」


「どうした。流星?」


「私と.....ななちゃん。転校する準備してくれるって」


「.....おいおいマジで来るのか?」


む?嫌なの?お兄ちゃん、と流星はムッとする。

俺は、違うお前らの将来はそれで良いのかと聞いているんだ、と言う。

奈々が寄って来た。


「翔太さんと一緒が良いです。私」


「いやまぁ.....それは有難いが.....」


「翔太さんは嫌ですか?」


「.....」


いやいや、そんな涙目で見られても困るんだが。

しかし.....奈々の涙目、可愛いな。

と思いながら周りを見ると。

安藤がジト目で俺をニヤニヤしながら見ていた。


「男なんだからしっかりしろや」


「お前な.....」


「それに奈々がやって来たらアレもコレも.....はっ!」


「智彦?何を言っているのかな?」


背後から白夜が黒のオーラを出しながら近付く。

安藤に白夜からヘッドロックがされた。

それを俺達は笑いながら見る。

そんな笑っている中で、奈々が話す。


「でも翔太さん。病院の都合も有りますから転校でも良いんです。遠いですから」


「.....そうなのか?」


「はい」


奈々は柔和な顔で言った。

じゃあまあ.....問題無いのか?と思いながら。

俺は側に有った唐揚げを頬張る。

するとピクッと流星がニコッと反応した。


「あ、お兄ちゃん、それ私の作ったの。美味しい?」


「.....え?ああ、美味しいよ。流石は流星」


「あ!ずるい、りゅーちゃん。私も」


と頬を膨らませた奈々。

側に有った小さな籠を開く。

それから出て来たのは。

手製フルーツポンチだった。

でも一人分ぐらいしか無いのだが。


「.....これは?」


「翔太さんの為に作ってきました」


「え!?俺の分は!?」


安藤お前.....俺は額に手を添える。

あ、ごめんね、安藤さん.....とあわあわする、奈々。

いや、良いんだぞ奈々。


「.....お手製です。フルーツが少なくて.....これだけしか作れなかったんです」


「成る程な.....」


「えっとだから.....是非、翔太さんに」


「.....」


奈々はモジモジして赤くなる。

本当に.....可愛いな、コイツ。

昔の俺だったら有り得なかったな.....。

俺はそう思いながらフルーツポンチを頂いた。


「.....どうですか?」


「.....かなり美味いな」


「.....良かったです」


バカップルの様に見えるかも知れない。

奈々の両親も嬉しそうな感じだ。

俺は.....少しだけそれに対して笑みを浮かべた。


「全く谷川。お前.....魅せるね!」


「何飲んでんだお前」


「白夜お手製のジュース!」


「.....良かったじゃねーか」


おう、と元気良く返事をする安藤。

俺は苦笑しながら.....時間を見た。

あら.....。


「時間ねーな。早く食おうぜ」


「そうだな、安藤」


やれやれ、休み時間って何でこんなに短いんだろうな。

俺はその様に思いながら、一気に食事を済ませて。

そして午後の部の為に応援席に戻った。



「騎馬戦だな。もう直ぐ」


「そうだな。憂鬱だぜ!」


「嘘吐けテメェ。ジュースで元気なったんじゃねーか?」


「いや、腹痛が.....」


どっちだテメェ。

俺は頭に手を添えながら溜息を吐いた。

そして.....空を見ると。

何だか.....曇ってきていた。


「.....あれ?雨だっけ?午後」


「そう言ってたかも。何だか降りそうだね」


「.....河瀬はどう思う?」


「.....うーん.....小雨じゃ無い?」


そうだよな?小雨で.....あってほしいが。

と思いながらもう一度、空を見る。

しかしどんどん真っ暗になるな。

これヤバイとちゃうか?


「.....騎馬戦中止か!」


「お前のマヌケ面を見たかったけどな。これは気になる天気だな」


「うーん。残念な天気だね」


「.....ああ」


と空を見ていると。

ポツポツと鼻を打つ雨が降って来て.....。

そのまま、土砂降りに。

しかも入道雲のせいで雷まで鳴り始め体育祭は中止となってしまった。



「アッハッハ!こうなってしまったらもうしゃーない!アハハ」


「お前な.....騎馬戦中止になったからって良い気になるなよ」


「なってないよ?」


唇を尖らせて持っていたタオルで頭を拭きながら。

かなりすっとぼけた様な感じで言う、安藤。

俺は頭に#を浮かべながら俺は見つめる。

にしても頭も濡れたし寒い。


「いやー、凄い雨だったな」


「そうだな」


「ってか、安藤の間抜け面が見れなかったの残念だよな?」


「そうだな」


お前ら何を話してんだ!

とクラスメイト達に安藤は叫ぶ。

俺は苦笑しつつ服を脱いだ。

そして急いで着替える。


外は完全に本降りだ。

クソッタレ、傘も無いぞ。

と思っていると万が一の為に傘入れてたけどよ、と言う安藤。


「ああ、ってか傘は有るんだが、俺とお前で相合傘って事か?」


「お前.....何気持ち悪い事を想像してんだ」


「ジョークだ馬鹿」


相合傘は無いけどそうなるかもな。

と盛大に溜息を吐く。

するとスマホにメッセージが届いた。


「?.....奈々?」


(翔太さん。相合傘しましょう。傘一本だけ有ります。待ってます)


「.....奈々の奴め」


少しだけフフッと言いながらスマホを仕舞う。

それから着替えていると。

担任が入って来た。


「お前らー。帰るときはまた連絡すっから」


「「「「「ウィース」」」」」


「とっとと着替えろよ」


出席簿を肩でトントンしながら俺達を見る担任。

そんな感じで俺達は着替えて帰り支度をしてから。

俺達は帰る事になった。

困ったもんだな、本当に雨ってのは。



何故、こうなってしまったのだろうか。

帰宅後、俺は停電した中、奈々の家に来てしまい。

しかも誰も居ない中で、奈々の部屋、俺は抱き締められていた。


暗闇だから分からないが俺は赤面で居るのだが.....。

まさか暗闇が苦手とは.....って言うか!

かなりまずくないか?これ。

俺と奈々しか居ないし。


「怖いです.....翔太さん.....」


「.....大丈夫か?奈々」


「.....は、はい.....」


奈々は俺に必死に抱きつく。

不安そうな顔をしている事だろう。

俺は.....奈々を抱きしめずには居られなかった。


が、その.....何だろう。

この状況にかなり参っている。

外は大嵐だし.....。


で、俺が奈々の家に来た理由や俺達しか居ない理由などだが.....約1時間前に遡る事になる。

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