第十章 体育祭
第24話 体育祭当日
体育祭の練習の鬱憤晴らしの様に映画を観てから俺達は奈々を楽しませようとゲームセンターに行ったり、それなりに色々と楽しんでから帰宅の途についた。
奈々を疲れさせないという事も有る。
にしても.....衝撃的な日だ。
まさか白夜と安藤が.....付き合う事になるとはな。
衝撃を通り越した。
俺はその様に思いながら.....明日の事を考える。
明日は.....家族で出掛けるのだ。
奈々は俺を優しく見送ってくれた。
夜、俺はスマホを机に突っ伏してゆっくり見つめる。
「.....安藤.....と白夜。かなりお似合いだと思うぞ」
スマホのキーボードを動かしてそして安藤に送信する。
俺は.....少しだけ和かにスマホを見つめる。
安藤と白夜は本当に良いコンビだと思うのだ。
コンコン
「お兄ちゃん」
「.....おう。どうした。流星」
「.....うん。入って良いかな」
どうぞ、と俺はその様に話した。
安藤からの返事は無いからまぁ良いかとスマホを切る。
流星がパジャマ姿で和かに入って来る。
俺は?を浮かべて聞いた。
「どうした?」
「.....安藤さん.....と白夜さん。.....付き合って良かったねって思って」
「.....そうだな。俺は不安だったけどな」
「.....安藤さんが嘆いていたのが?」
そうだな、と俺は苦笑気味に言う。
横で流星はベッドに腰掛ける。
それから俺に少しだけ複雑そうに向いた。
「.....ね?お兄ちゃん。女の子の恋に付き合える様になったの?」
「.....付き合える様にはなって無いな。まだ.....抵抗感が有る。だけど.....何時迄もそれの状態は良く無い事だと思うんだ」
「.....ヒーローは回復が遅いってのも有るからね」
「.....俺は.....別にヒーローじゃ無いよ」
ヒーローだよ。
だって.....私を救ってくれて。
そしてななちゃんを救ってくれて、それでヒーローじゃ無いの?と言う、流星。
俺は.....そんな流星を見つめて口角を上げた。
流星は.....あ、そうだと言う。
「お兄ちゃん。出掛ける準備は出来た?」
「.....そう言うお前はどうなんだ」
「.....私は楽しみだなって思う。出掛けるの.....久しぶりだから」
「.....」
思えば家族揃って出掛けるなんて昔じゃ有り得なかったな。
だってそうだろ。
再婚同士だったしな俺達。
「流星」
「.....何?」
「.....有難う。お前が居てくれたから」
「.....お兄ちゃんが居てくれたから」
俺達は笑い合う。
そして.....翌日になって家族で出掛けてからの。
俺と安藤、河瀬、白夜は。
運動会当日を迎える事になった。
☆
運動会当日の事だ。
集合まであと五分有る中。
俺は気分サゲサゲの安藤を見て説得していた。
そういう事も有るってのって感じで。
「安藤。良い加減諦めろよ」
「やかましい!!!!!何でだ!何故、俺が騎馬戦の.....しかも騎手なんだ!!!!!」
「体育祭準備のツケが回って来たんだろ。お前、サボってたしな」
「サボりだ!?殺すぞ谷川ァ!真面目にやってきたってのに!」
嘘こけコラ!テメーのサボりの面はクラスメイトから色々と聞いたぞ!
と俺達は手と手をぶつけ合って争う。
すると横から白夜と河瀬がオーイと言いながらやって来た。
純白の体操着姿の二人。
俺達の様子にアタフタな感じを見せる。
「な、何してるの?」
「そうだな.....見て分からないか?安藤をぶっ倒しているんだが」
「.....え!?」
オドオドして不安そうな顔になる、白夜。
まぁ冗談だけどな、と俺と安藤は苦笑する。
そして安藤から手を引いてから居ると。
河瀬が俺を複雑そうに見てきた。
「.....鍵の在処ってまだ分からないの?」
「.....あ?ああ.....まあ分からない。そもそもヒントも無いから」
「.....ふーん」
俺は苦笑いを浮かべる。
河瀬は俺の様子に見開きながら顎に手を添えて、困ったね、と言う。
そうだなと俺が答えていると安藤が俺の肩に手を回してくるなり聞いて来た。
「.....大切なものが入っているにしても.....気になるな?」
「.....まぁ壊す訳にはいかない。だから待つか探すかだな」
「.....ヒントさえあればね。ね?智彦」
智彦?
俺は白夜をジッと見る。
それを言って、あ。と固まる白夜。
見開きながら安藤を見た。
安藤は赤面で頭をボリボリ掻いて居たので河瀬が聞く。
「.....下の名前で呼んでいるのね」
「.....そ、そうです.....だって恋人同士だから」
恥ずかしがる、白夜。
への字に目を曲げて安藤は悶えている。
何だこれ.....イチャイチャしやがって。
俺は、ふう、と言いながら見つめる。
すると、開会の合図があった。
「.....行くか」
「そうだね」
さてさて、今日は頑張らないとな、体育祭.....と思って観覧席を見ると。
ハッピとメガホンを持った.....少女が居た。
俺達を見るなり目を煌めかせる。
な.....。
「いえぇす!!!!!みんな頑張って!!!!!」
「いや.....アイツ、何やってんだ?」
「俺が聞きたい.....」
頭に手を添えた。
安藤が顔を引き攣らせて唖然とする。
誰かと言えば長嶋だ。
赤いハッピ姿の黄色のメガホンを持った長嶋がオタ踊りで俺達を応援している。
皆んな唖然としているが.....。
「.....何やってんだアイツめ.....」
「まぁ良いんじゃ無い?今日は祭りだよね」
「.....そんなもんかな」
河瀬に俺は、まあ.....な。
と言いながら苦笑した。
俺達の家族も来ている様だが。
長嶋が一番に目立っている。
「.....有難いな」
ついそんな呟きが出た。
昔じゃ絶対に有り得ないのだ。
こんなに仲間が増える事が、だ。
そこだけは神に感謝かな。
そう思いながら俺達は暑い中。
体育祭限定の門へ並んだ。
高二の体育祭が。
今、始まる。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます