第23話 白夜と安藤
奈々は白血病を患っている。
その為に頭が点々の様に禿げてしまったがそれでも奈々はニコニコして俺の腕に自らの腕を回す。
その花の様な笑顔に俺は.....本気で強いなって思ってしまった。
でもその中でも.....まるで花が同じでも醸し出す香りが違う様に.....奈々は色々な顔を見せてくれる。
それが.....楽し過ぎるのだ。
「奈々。次、何処に行きたい?」
「じゃあ映画が観たいです。それも恋愛もの」
「.....え.....マジで?」
「はい。恋愛のお勉強がしたいです」
俺は唖然としながら奈々を見てから流星を見る。
そんな流星も頷いている。
輝かしい笑顔を見せながら。
俺は、ならよし、と頷いて奈々に向いてから笑みを浮かべた。
行きますか。
「.....行くか」
「そうですね」
「.....うん。でもその前に.....」
と後ろに眉を顰めて歩いて行く流星。
俺は?を浮かべながら見つめるとドドドと音がした。
人が倒れる音で有る.....って。
おいぃ!?
「何を.....やってんだ!?安藤に.....白夜.....に河瀬!」
「よ、よお。谷川」
「しょう、付いて来た訳じゃ無いからね!?安藤くんと偶然有会って.....!」
「翔太、ごめん」
翔太、ごめんって言っているじゃねーか!
まさかずっと付いて来たのかコイツら.....何をやってんだか.....。
俺は頭に手を添え、そして溜息を盛大に吐く。
そして安藤を真っ先に睨んだ。
コイツが主犯格か。
「安藤、テメェな」
「いや、俺だけかよ!」
「当たり前だお前.....お前が仕組んだ様な感じで言っているじゃねーか皆んな」
「完全に誤解だっ!」
何を言っても効かんぞ、お前も協力したんだろ?と俺は溜息を吐いた。
あのな、えっとな、と、しどろもどろに言う安藤。
俺は、ったく、ともう一度、盛大に溜息を吐いてから苦笑した。
それから言う。
「有難うな。安藤。白夜。河瀬」
「別に」
「.....えへへ」
その様に話して、みんな頬を掻いて謝る。
全くな.....と奈々を見ると嬉しそうな顔をしていた。
それから俺にニコッとする。
愛おしい様な笑顔を、だ。
「ね?嬉しいね」
「.....そうだな」
「じゃあ、皆さんで映画見ますか?」
「あ、谷川。その前に.....」
安藤が俺を手で制止した。
河瀬が、あ.....そうか、と言う。
移動しようとした俺は?を浮かべた。
なんだコイツら?
するとギュッと白夜の手を安藤が握る。
少し小っ恥ずかしそうに、だ。
え?.....え?
「.....谷川。俺な.....白夜さんと付き合う事になった」
「殺すぞお前」
「あ、殺すぞとかお前。ジョークじゃ無いぜ」
「え?これちょっとマジで?」
白夜を見ると少しだけ赤くなって頷いている。
え.....と奈々と流星が驚愕している。
俺も相当にビックリなんだが.....ってか有り得ないだろ!
何だよそれ!!!!?
「びゃ、白夜が!!!!?」
「.....そ、そうだな」
「う、浮気は駄目ですからね。安藤さん」
「.....そ、そうですね」
有り得なさ過ぎる。
俺達はジト目で見つめる。
マジで驚愕で頭が混乱しているが.....。
どっちが告白したんだこれ?と思いながら見つめる。
安藤は頬を掻きながら俺からだよ、と告白した。
俺は、え?、マジか.....と思う。
しかし.....。
「.....お前にそんな根性が有るとはな。安藤」
「うるせえ。俺だってやる時はやるんだぞ」
「.....そうだな。まぁ、お前.....俺を何時も助けてくれるもんな。その勢いで白夜も助けろよ。安藤」
「.....ああ」
本気でまさかだろとは思った。
展開には相当な衝撃だが良かったと思う。
本当に安藤は信頼出来るのだ。
彼は良い男だ。
エロ面では全く信頼、出来ないが。
女面でもホイホイな感じだしな。
「.....じゃあ、白夜さんは了承したんですね」
「.....うん。良いよって。この前、格好良かったから」
この前って.....あー、あれか。
俺と安藤が奈々を助けた事の件だな。
確かその件を皆んなに話したんだよな。
そしたら安藤の株が上がったが.....それでもまさかだろ。
その事だけでは惚れるとは思えない。
マジに衝撃だわ、本当に。
「安藤.....お前、鍵の友人だからな」
「.....おう」
「マジに大切にしろ。じゃないと殺す」
「.....そうだな」
俺は安藤と片手でハイタッチをした。
それから笑みを浮かべる。
でも大丈夫だろう、安藤なら。
きっと、だ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます