第20話 長嶋といじめ
俺と安藤と。
そして.....長嶋ミツル、というその少女は。
椅子に腰掛けていた。
真正面に長嶋そして目の前に安藤、俺、とそんな感じで。
「.....それでお前は.....何時まで俺達と一緒に居る気だ」
「.....私、楽しそうな方々を見るのが好きなんです。もし良かったら.....冒険のお供をさせて下さい」
「冒険て.....」
安藤が顔を引きつらせて面倒臭いという感じの顔をしている。
この安藤がそんな顔をする事自体が異常なんだが。
俺も顔を引き攣らせている。
コイツ見ていると.....なんか.....うん。
そのように思っていると背後から声がした。
「お待たせ.....って.....しょう!?誰その女の子!」
「.....翔太.....アンタ.....」
二人が少しだけ引きながら現れた。
俺に対して.....ワナワナ手を震わせて浮気?と言う。
いや.....浮気って決めつけんなよ。
俺は直ぐに二人に話す。
「良いか白夜。そして河瀬。お前らの思っている事は違うからな。コイツは勝手に付いて来たんだ」
「.....勝手に?」
「勝手.....え?」
その様に二人は目をパチクリする。
俺は、そうだ、と言いながら俺は長嶋に向く。
ニコニコしているが.....うーん。
どうしたもんか。
「.....長嶋」
「はい!」
「なんつうか.....俺は付いてくるにはあまり良く無いぞ。諦めろ」
「いや、大丈夫です!」
目を輝かせて二人の下半身辺りを見る、長嶋。
大丈夫じゃ無い。
色々と、だ。
俺は頭に手を添えながら盛大に溜息を吐く。
すると白夜が俺を見てきた。
「まあ良いんじゃ無い?友達は多い方が楽しいしね、しょう」
「.....とは言え.....な.....」
良いのかな。
このまま友達ってのも。
俺は顎に手を添えながらニコニコしている長嶋を見た。
長嶋に白夜が近付く。
「宜しく!長嶋さん」
「はい!」
俺と安藤は苦笑しながらその光景を見ていた。
そしてそのまま長嶋は仲間に。
テッテレーとでも効果音が鳴りそうだ。
☆
「この後どうする?」
「じゃあ.....そうだね.....お店巡りをもうちょっとしたいな」
「そうですね!賛成です!」
長嶋、俺、安藤、白夜、河瀬は五人で歩く。
お店が立ち並ぶ場所を次々に見つめながら、だ。
取り敢えずは.....そうだな.....本屋行きたい。
新刊のラノベとか有るから。
「長嶋さんって何でこの場所に一人で居たの?」
「あ、私ですか?.....私は.....」
白夜の言葉に少し寂しげな顔を見せる長嶋。
俺は?を浮かべながら見つめる。
だが直ぐに明るくなった。
「私の事は大丈夫です!皆さんと出会えて嬉しいです」
「.....長嶋.....」
俺は長嶋の目を見る。
長嶋の一瞬だけした目が気になった。
その目は.....何か悩みを抱えている目だったから。
俺は、そうなのか、と納得して言葉を発する。
「俺さ、ラノベ見て来て良いか?本屋行きたい」
「じゃあ俺も」
「じゃあ皆んなで行こうか!」
白夜がニコッと笑む。
それから俺達は本屋に向かった。
その本屋に入る前に.....何か背後で視線を感じたが。
気の所為だろうと思い無視した。
☆
「やっぱり本って高いね」
「そうだな。俺も2冊しか買えなかったよ」
その様な会話をしながら本屋から出る。
安藤と長嶋はニコニコしながら収穫品を見ていた。
俺はそれを見ながら笑みを浮かべる。
俺の家の近くには本屋無いし、新刊が買えて嬉しい。
その様に思いながら目の前を見るとメイクしているのかキャバい女、3人がニタニタしながら立っている。
「.....何だお前ら?」
「その女と付き合うの、止めた方が良いよ〜って知らせに来たんだけど。長嶋ミツルと」
「.....」
背後の長嶋がビクビクして怯えていた。
俺は?を浮かべながらキャバどもを見つめる。
そうしていると安藤が聞いた。
白夜と河瀬が長嶋を守る様にする。
「.....どういう事だ?」
「いや、そいつ、オタクだしキモいし」
「オタクだから付き合っちゃ駄目っての.....おかしいと思います!」
白夜が思いっきり反論する。
するとキャバいそいつらは眉を顰めた。
それから、アンタらも、もしかしてオタクなの?きもーい。
と馬鹿にした様な口調をした。
俺はイラッとする。
「.....長嶋」
「は、はい.....」
「コイツら.....長嶋の知り合いか」
「.....イジメをしている子達です.....お金を毎回取られたり.....」
イジメと聞いて俺は眉を寄せた。
やれやれ.....今の時代にまだそんなのが有るのかよ。
俺は考えながらキャバいそいつらを見つめる。
いつの間にか3人で俺達を囲んでいた。
「何をする気だよ」
「ああカツアゲ。このまま付いて来てもらうから」
何を考えてんだこのクソ女。
平然と.....。
最低にも程があるんだが。
思いながら聞いていると長嶋が前に出た。
そしてビクビクしながら話す。
俺達を見て、だ。
「.....カツアゲって。この人達は何もして無いです.....」
「いや、アンタに聞いてないから」
怒り口調で話す、女。
まるで獣が空腹で腹を立てている様な。
俺は溜息を吐いた。
しかしこんな時、流星や奈々ならどうするかな。
俺は顎に手を添えて考える。
白夜が聞いてきた。
「.....しょう、どうしよう.....」
「.....取り敢えずは.....警察にでも連絡するか?」
俺はスマホを見ながら眉を顰める。
どうしたもんかな、とそう思っていた時だ。
背後から警備員らしき人達がやって来た。
そして俺達に話し掛けてくる。
「君達。知らせが有って来たが.....何をしているんだね」
「別に。同級生と懐かしい会話しているだけですよ?」
警備員が訝しげな目をする。
そんな睨みにもニコニコしながら平然と話す女。
よくもまあそんなクソみたいな嘘を打ちかませるもんだな。
二枚舌が悪魔の様に相当なもんだ。
俺達を見ながら女達は俺達を移動させようとした。
その際に俺は静かに警備員に後ろ手でこっそりスマホを渡す。
そんな救難信号に警備員は気付いたのか俺のスマホを受け取った。
スマホには.....俺達に対するカツアゲです、と書いてある。
後ろに手を回して書いた。
警備員の視線が変わる。
「ちょっとそこの3人。私に付いて来なさい」
「はぁ?何で?あのね、何も無いって言っているじゃん」
「いやすまないけど付いて来てもらう。そして君達も良いかね。事情を聞く」
女どもはハァ!?と呆れ顔。
周りに気が付かれない様に俺にスマホを返した警備員。
どうやら.....意図は警備員に通じたらしいな。
俺はホッと息を吐く。
女達は連れて行かれていた。
「.....よし」
「.....後ろ手でスマホにメッセージとか細かい事だけは本当に相変わらず得意だな。谷川」
「だろ、安藤」
それからその女どもはカツアゲをしていたという事で厳重注意を受け。
俺達はその女どもより先に解放された。
まさか後ろ手でメッセージを書いていたとは分からなかっただろうな。
挑発しない様に頑張ったのだが功を奏した。
俺達はそのまま.....買い物を続けて。
お土産などを買ってから。
帰宅し。
この事によって長嶋とは本格的に友人になった。
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