第八章 長嶋ミツル

第18話 河瀬の趣味

翌日になり、土曜日になった。

俺は着替えと支度を時間を見ながらする。

そして.....自室の生前の頃の鍵の写真をふと見た。

そこには.....花の咲く様な笑顔で居る、幼い鍵が居る。


俺は.....それを見ながら少し複雑な顔をする。

でも今は.....俺はあまり悲しく無い。


何故かと言えば、鍵が色々遺してくれていたから。

俺を護る為に、だ。

だから悲しいだけじゃ居られないのだ。


「.....有難うな、鍵」


鍵は.....当たり前だが何も言わない。

俺は胸元に有る、箱型のネックレスを触りながら少しだけ笑む。

それから鞄を持った。

そして鍵の写真に向いて手を挙げる。


「.....行って来ます」


扉を閉じ、そして俺は駆け出す。

準備は整ったので集合場所まで急ごう。

因みに今日はショッピングセンターに行く事になった。


隣町の大型ショッピングセンターだ。

俺はリビングに入る。

すると流星が寄って来た。


「お兄ちゃん。忘れ物無い?」


「おう。.....あ、定期忘れた」


「もー!しっかりしてよ!」


「すまん」


ドタドタと慌てて定期を持って来てから。

俺は静かに流星を見た。

そして.....手を挙げる。

流星も手をニコッとして挙げた。


「行って来るからな。遅くならない様にはする。でも鍵は掛けろよ」


「うん。私、ななちゃんのお見舞いに行って来る。お兄ちゃんが何時も行っているから」


「そうだな。頼む」


俺は靴を履いて玄関のドアを開けた。

それから駆け出して行く。

待ち合わせ場所はこの街の駅だ。

その場所まで急ぐ。



「お待たせ。すまん」


俺が到着すると、皆んな来ていた。

銅像が有るが、その前に、だ。

俺はゼエゼエ言う。

少し遅れてしまった。


「しょう」


「翔太」


「大丈夫か?谷川」


「ああ、大丈夫だ」


安藤が心配げに俺を見てくる。

俺はシャツに上着とズボンとスラッとした感じの安藤を見ながら。

手を挙げて周りを見る。


とても可愛らしい、カジュアルな服装の河瀬。

そして.....可愛い柄のTシャツを身に付けた、白夜が居た。


俺は確認するなり、息を整えた。

そしてじゃあ行くか、と言う。

すると皆んな頷き、そして歩き出す。


「ショッピング楽しみ」


「そうだな」


「買い過ぎはよく無いけどね」


そんな会話をしながら切符を持ってない安藤などが切符を買っていた。

そのまま駅の改札に向かう。

そこでメッセージが入ってきた。

俺は?を浮かべて直ぐにスマホを見る。


「.....奈々か」


(気を付けてね?女の子と一緒だって事だけど.....浮気しないでね?)


「.....」


俺はカタカタとメッセージをタップして送る。

それは無い、と、だ。

流星との約束も有るのだから、と。


「よし」


スマホを仕舞いながら改札をくぐって。

駅の構内を歩いた。

下り線に乗ってから.....。



「来たねぇ」


「そうだな。デカイな.....このショッピングモール」


駅から会話しつつ歩いて十分。

その目の前にショッピングモールが有る。

俺は.....見開いて見つめる。

結構デカイ。

なんだかそこらの有名なパチ屋と勘違いしそうなデカさだ。


最近出来たそうだが.....うん。

モデルとしては.....神殿をモチーフにしているらしいが。

アテネだっけか?うん。


「.....買い物しごたえが有りそうだな」


「.....そうだね。大切なモノを見つけれそうだね」


「.....翔太。驚き過ぎだと思うけど」


いや、割とガチでデカイぞこれ。

驚きだろ。

えっと.....何階建てだっけ?

俺は.....思いながら見つめていると。


「早く行こう」


と河瀬がウキウキな感じになって話した。

なんだコイツと思いながら。

俺は話した。


「楽しそうだな、お前」


「は、はぁ?.....べ?別に?楽しくないわよ?」


「えー?でも錦さ、昨日から.....」


赤面で言わないで!と河瀬は言う。

なんだコイツ、昨日から浮かれてやがったのか。

俺と安藤はニタニタしながら見つめる。

河瀬は俺と安藤の視線に俯いた。

安藤が言葉を発する。


「とりま、何処寄る?」


「じゃあ私.....服見たいなー」


「俺は別に何処でも」


すると、河瀬が小さく手を挙げた。

口がモニュモニュしている。

暫くして河瀬は真剣な顔でキリッと話した。


「私、寄る所有るから」


「は?寄る所?」


「う、うん」


なんか興味有るな、それ。

こんな場所で何をするんだ?

俺は河瀬を見つめる。

河瀬は俺の目線にビクッとした。

なんだコイツ?怪しいな。


「じゃあ俺はホビーショップ行きたいわ」


「うん、じゃあ行こうか。みんな」


河瀬の行動を俺は観察しながら。

俺達は店内に入った。

後から知る事になるが。

河瀬は.....

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