第17話 遊びに行く約束
白夜から鍵穴の有るネックレスを貰った。
このネックレスは.....箱型でしかも鍵が最後に遺したモノらしい。
白夜に最後に託したという。
だがこの鍵穴用の肝心の鍵は無い。
つまり.....簡単に言えば破壊して出すか。
鍵を探さなければいけない.....が。
壊すのは勘弁だな、なるだけ。
俺は思いながらランカーの務めの途中で汗だくで地面に寝そべった。
「マジに疲れるなしかし.....」
「おう。お疲れさん」
安藤がやって来て、水筒を持っている。
俺はそれを受け取って体操服で汗を拭いながら.....水を飲む。
堪らないなこれ。
8月とかやったら死人が出るぞオイ。
「ったく、安藤。お前、変われよその仕事。ランカー疲れるしよ」
「喧しいわ。お前、奈々に応援されているじゃねーか。裏山しねや」
「.....ハァ.....」
コイツ.....楽な仕事ばかりの癖に。
水筒持って来たりするだけのサボり。
にしても.....奈々が練習なのに本当に来るとは。
俺は少し嬉しく思いながらも複雑な心境だった。
酷くなったりしないものか、とだ。
「お疲れ様。しょう」
「.....お疲れ様」
「おう。白夜.....と河瀬」
河瀬と白夜がやって来る。
因みに女子はダンスだ。
だからポンポンを持っていた。
俺は.....それを見ながら手を挙げる。
「お疲れさん」
「うん。お疲れ様、ね?錦」
「.....う、うん」
「.....しかし.....」
俺は少し赤面する。
その背後では安藤が喜んでいる。
ヘソ出しチアガール衣装ってのもな.....。
この学校の校長、頭おかしいんじゃ無いか?
河瀬と白夜。
それぞれは.....赤くて白のフリフリスカートのヘソ出し衣装だ。
ポニテにしているのが更にインパクト。
俺は頬を掻いた。
「いやー。恥ずかしいね」
「.....う、うん」
「いやー。俺は良いと思うぜ!」
「お前は黙れ安藤」
全くな.....でもそれも楽しいのかも知れないけど。
と思いながら時計を見ると。
時間が既に集合時間になっていた。
俺は水筒を安藤に投げる。
「じゃあまたランカー.....頑張って行ってくるわ」
「おう?ああ、頑張ってな」
「あ、しょう」
「.....どうした?」
声を掛けられた。
俺は?を浮かべながら白夜を見る。
白夜はモジモジしながら俺に向いてくる。
そして俺に対して言った。
「久々に錦と、しょう、遊びに行きたいんだ。体育祭終わった後でも。でも.....許可を得ないといけないよね。奈々さんに。私、女の子だし」
「ん?それも.....」
俺が手を上に伸ばしながらそこまで声を上げると。
突然、背後から声がした。
「呼んだかね」
「呼んでねぇよクソボケ」
何だよいきなり。
安藤、目を輝かせるなっつーの。
俺は盛大に溜息を吐いた。
「あ、じゃあ安藤くん.....一緒に」
「おう」
「何でだよ!!!」
「お前よ、友人としてどうかと思うぞそれは。是非是非、俺も誘ってくれよ」
いや!安藤お前!
ほぼ関係無いだろ俺達の過去に!
と思いながら白夜を見る。
白夜はニコニコして俺を見てくる。
「えっと.....安藤くんが居たら奈々さんも安心だと思うから」
「.....そうだと思う」
「いやしかし.....」
少し抵抗感が有ったが。
まぁ良いかと思って俺は盛大に溜息を吐く。
すると同級生に呼ばれた。
俺は慌てて駆け出す。
「じゃあ今週土曜日で!」
「うん!有難う。しょう」
そして駆け出して行く俺。
そういや、流星に話したっけか?
白夜と.....河瀬の事。
話しておくか。
☆
帰宅後、流星に全てを話した。
しかし、現実はそれ相応に甘くは無く。
俺は流星に、えー?、とジト目で怪しまれる。
女の子二人で男二人だしな.....。
「お兄ちゃん。友達なんだよね?デートじゃ無いんだよね?絶対に」
「.....お、おう」
「約束してよ?ななちゃんから離れないでね?お兄ちゃん、そういう方面が油断しやすいから」
「.....は、はい」
俺は汗を流しながら話を聞く。
そうしていると流星が、まぁ良いや、と言葉を吐いた。
それから俺の胸を指差す。
「お兄ちゃんは、ななちゃん、のモノ。分かった?.....ってか、これ何?」
「.....ああ.....これか?これな.....さっき言った白夜って子に鍵の遺物だと預けられた」
「へぇ.....綺麗なネックレスだね」
「でも何が入っているか分からないんだよな」
カラカラとは音がするが、と話した。
あ、そうなの?と流星は反応する。
そのネックレスに触れる、流星。
「.....振って良い?」
「.....ああ、まぁ大丈夫だ」
カラカラと音が鳴る。
俺は俯きながら流星を.....りゅ.....。
なんか、俯いているせいか下着が透けている。
俺はボッと赤面して横を見た。
流星は顔を上げる。
「本当だね。.....ってお兄ちゃんどうしたの?」
「.....いや.....な、何でも無い。だろ?そうだろ?」
「うん。鳴ってる。何だろうこれ?開ける鍵は無いの?」
無いんだよな、と告げる。
ふーん、と流星は言う。
それから.....顎に手を添えた。
「.....壊すって訳にもいかないね。これ外側も大切なんだよね?」
「.....そうだな。壊す選択肢は.....なるだけ入れたく無い」
「.....じゃあ鍵を探すか.....こじ開けるかだね」
そうだな、と俺は苦笑気味に言う。
流星は顔を上げてから俺に和かに向く。
そして、お茶飲む?、と聞いてきた。
俺は流星に頷く。
「.....じゃあついでにお茶菓子も出そうか」
「夕食に響くぞ。アホ」
「それもそうだけど甘い物は別だよ」
「.....ったく」
俺はハァと言って苦笑する。
その際に気が付いた。
そういや、流星は5月の予定はどんな感じなんだ?
俺は流星に顔を向ける。
「流星。お前5月はどんな感じなんだ?予定」
「.....私?私はね.....5月はテストだね」
「.....マジで?.....面倒臭いな.....」
「お兄ちゃんの学校の予定の方が面倒臭いよ。だって体育祭だからね」
そして苦笑いを浮かべる流星。
俺はそうかなぁと言いながら天井を見た。
それからテレビを見て話題を観てから、あ、と思い出す。
「.....ゴールデンウィークどうする?」
「.....あー、そういやそんなの有ったね。どうしよ?隆さん(翔太の親)もみんな忙しいかもだし.....」
「まぁその時になったら考えるか」
「ななちゃんのお見舞いとか.....だね」
お茶の急須を揺らしながら言う。
そうだなと俺は頷きながら足を組む。
それから.....体育祭の事を思い。
また憂鬱になった。
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