第七章 体育祭の練習

第16話 体育祭の練習

さて、体育祭の練習と言えば.....先ずはどれをするか決める事になる。

しかし.....何でこうなった。

俺の担当は.....走者だ。

つまり.....バトンランカーで有る。


俺は溜息を盛大に吐いた。

何てこったい、と思いながら、だ。

そんな大会練習期間中、準備係が選ばれて余裕ぶっている安藤を殴りたい。

クソッタレ忌々しいのだが。


「まぁ頑張りたまへ」


余裕ぶっている安藤。

ランカーが決まっての翌日の四時限目の前。

安藤が日陰で作業出来る事を良い事にコイツという奴は。

この野郎.....絶対に殺す。


「お前という身軽は.....」


「まぁそんな事言うなよ」


「ってかよ、お前。大会の準備やったら女子にモテなくね?」


安藤が言葉に少し停止してハッとした。

顎がガクーンと落ちる。

馬鹿なのかコイツ。


体育祭でモテたいとか言っていた癖に.....大会の裏手の作業ってモテない奴の仕事だろうよ。

俺は苦笑しながら安藤を見た。


「でも大会になったら活躍するもん!」


「でもお前の活躍の場所、大縄じゃねーか。役に立つもクソもあるまい」


「.....うわあああ!!!!!谷川のバカァ!!!!!」


乙女の様な感じで涙を流す安藤.....ってか何を言ってんだコイツは。

超キモいんですけど。

俺はハァと溜息を吐きながら、スマホを見ると。

メッセージが入っていた。


さっき、奈々にランカーになったという事を伝えたのだ。

その奈々からメッセージが来た。


(格好良いです。お兄さん。絶対に応援に行きますね)


(俺は嫌だけどな。まあ決まっちまったもんはしょうがない)


(でも.....惚れ直しますよ)


小っ恥ずかしいメッセージを送ってきやがって。

火山が噴火しそうだ。

俺は溜息を吐きながら赤面で画面を見る。


すると安藤がジト目で俺の横に.....ウオォ!?

思わず、安藤をそのままぶん殴った。

安藤は涙目で俺を見てくる。


「何すんだテメェ!?」


「お前のせいだろ!何をやってんだクソッタレ!」


「奈々さんとのメッセージだろ!?俺も混ぜろコラァ!!!!!」


混ぜるかテメェの様な奴を!

と大騒ぎしていると。

チャイムが鳴った。

安藤が溜息を吐いて戻って行く。


「覚えてろ.....この女ったらし!」


「お前マジで殺す!」


「ふんだ!女の子ばかり.....羨ましく無いんだからね!」


ツンデレを発動すんなキモい。

俺はその様に思いながらも笑みを浮かべる。

安藤は.....相変わらず心配してくれている様に見えたから。

俺は.....嬉しく思える。


「.....さて、授業.....」


教科書を開ける。

それからノートを開くと。

便箋が挟まっていた。

は?


「.....?」


便箋を開ける。

読んでみると.....白夜からだった。

ガラケーだからこう伝えるね、と書かれている。


(渡す物があった。後で渡すね。鍵からの預かり物なんだけど.....忘れてた)


「.....鍵の?」


俺は?を浮かべながら.....便箋を見た。

遺したモノって何だ?

鍵.....が、か。

何で白夜が持っているんだろうか。


「.....」


「授業始めるぞー」


「悩んでいる場合じゃねーか」


いつの間にか教師が来ていた。

俺は便箋を胸ポケットに仕舞って。

そして授業に集中した。



体育祭の練習が始まる。

その日の午後だ、俺は.....溜息を交えながら体操着に着替えて.....準備。

ランカーとか面倒臭いな。

と思っていると、横から白夜が廊下からヒョコッと顔を出した。

俺は?を浮かべる。


「.....おう。白夜」


「.....うん。えっと、便箋読んだ?」


「読んだが.....何だ?遺したモノって」


「.....そうだね、えっとこれ」


それは、鍵穴の付いた.....金色のネックレスだった。

鍵穴が中央に有る、そんなにデカくない箱の。

俺は?を浮かべつつ.....白夜に聞く。

これは何だろうか。


「.....鍵は何処に有るんだ?鍵穴が有るんだから鍵が有る筈だろ」


「鍵は無いよ。その鍵を.....鍵が持っていたんだから」


「.....嘘だろ.....ってか、何でこれ、白夜が?」


「.....今だからって思ったから」


今だから?

俺はその様に首を傾げて話す。

白夜は頷いてそして俺を見てくる。


「.....鍵はとても重要なモノが入っているって言ってた。でも鍵をくれなかった。どういう事なのか分からないけどね」


「.....うーん。どういうこった.....」


「.....でもこれも渡しておかないと。だから渡すね」


「.....取り敢えずは身に付けておくか」


取り敢えずは.....身に付けて。

それから必要になった時に.....これを差し出そう。

俺は.....その様に思いながらネックレスを身に付けた。


「.....白夜。有難うな」


「ううん。私は何もしてないからね」


「.....」


その様な感じで居ると安藤がやって来た。

ニコニコしているが.....何だコイツ。

かなりニコニコしてやがって気持ちが悪いな。


「.....お前.....それって白夜からのプレゼントか?殺すぞ?」


「違うわ.....アホ.....お前な」


面倒臭いこったな。

思いながら俺は安藤の首を絞める。

取り敢えずは.....鍵を探す事も目的に入れるか。

そう思いながら。

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