第14話 幼馴染、河瀬錦
鍵には友達が居た。
その友達は.....要は白夜だ。
白夜は病院通いだった鍵のとても少ない友人で。
その白夜の存在の重要性は簡単に言えばお金よりも大切だった。
確か鍵は病院で知り合ったと言っていたな.....。
俺は.....その鍵の友人に今日、登校中に久々に会った。
白髪なのは確か皮膚の異常じゃなかったかな。
そんな彼女も確か病気だったが、退院した。
病気は確か、気管支の粘膜の異常。
白夜は鍵に退院の日に約束を交わしたらしいが、その約束は.....叶わなかった。
共に退院したら.....をすると。
しかしこの.....が何だったか憶えてない。
鍵と白夜にバレない様に秘密にされてしまったせいだろうけど。
何を秘密にしていたかは分からない。
だけど.....とても重要な事だと思っている。
でも.....白夜は教えてくれないまま。
俺は例の河瀬の件で転校を余儀なくされて.....その約束はそのままになってしまっていた。
白夜は.....俺に会いたいが為に必死に頑張ってくれていたらしい。
どの様に頑張っていたかと言うと.....。
「周りの人に聞いていたりしたよ。苦労したら.....ようやっと、しょう、に会えたから」
「.....お前も相当頑張ったんだな」
驚きだったが。
白夜は隣のクラスに転学して来た。
廊下で跳ねる白夜と俺は.....久々の会話を楽しむ。
背後から.....その、何だ。
ぶっ殺すという視線を受けながら。
コイツら.....。
「隊長。如何いたしますか」
「うぬ。奴の首を刈り取って晒してしまえ」
「畏まりました」
コイツら!
さっきから聞いていれば何をやってんだ!
ってか、何の会話をしてんだ!
安藤までふざけやがって!
「テメェらぶっ殺すぞ!」
「対象がお怒りに!」
「うぬ!早めに首を打ち取れぇ!」
安藤達に叫ぶ俺。
そうしていると、アハハ、と白夜が笑った。
そして頬杖を廊下の窓枠に付きながら俺を見てくる。
良かった、と呟きながら、だ。
「.....良かった。元気そうだし、お友達もいっぱいだね」
「.....ああ。お前のお陰もあるさ」
ため息混じりで話す。
すると、チャイムが鳴り響いた。
白夜は慌てた様に、わわっ、と言う。
そして俺に手を振った。
「チャイム鳴ったし戻るね」
「ああ。じゃあな」
「じゃあね」
そして手を振って見送りながら。
背後の安藤達を見つめた。
安藤は、クラスメイト達は俺をジト目で見ている。
俺に対して安藤が言った。
「お前ばかり」
「.....お前な.....」
「紹介しろよ?今度」
「.....ああ」
全くよ、と安藤は頬を掻きながら苦笑した。
俺も苦笑いを浮かべながらハイタッチをする。
その空気の中で.....河瀬だけが俺を複雑な面持ちで見ていた。
俺はその視線を感じながらも特に何のリアクションもせずに椅子に腰掛ける。
☆
「しょう、お昼ご飯、作って来たよ」
「え」
四時限目の終わり。
突然、ヒョコッと白夜が現れて.....その様に言った。
それから長い髪を靡かせながら教室に入って来る。
物凄い怒号が聞こえた。
「「「「「ハァ!!!!?」」」」」
教室が凍った。
それからは罵詈雑言。
ざけんな!
二股か!
浮気かコラ!
と煩い連中が.....って言うか。
中でも安藤がブーイングを出していた。
俺は即座に対応策を考える。
そして弁当を開け、白夜に了解を求め。
安藤に向いた。
「お前.....じゃあ白夜のタコさんウインナー食うか?」
「え!?マジ!?食う!」
ハァ?!とまた怒号が。
主将が裏切ったぞ!と声が響いた。
やかましいわ!と安藤が宥める。
その中で白夜が爆笑していた。
「アハハ.....お腹が苦しい.....面白いクラスだね」
「.....まぁそれなりにやかましい連中ばかりだけどな」
俺は苦笑しながら白夜を見る。
横に安藤が椅子を引いて来ていた。
それを見ながら白夜は荷物を退かしつつ。
ニコニコして俺に向いて頬杖を付いた。
「ね?もっと聞かせて?このクラスの事」
「.....あ?ああ」
その様な感じになっていた時だ。
横から河瀬が来た。
安藤が警戒しながら見つめ。
俺も.....何だよ的な目を向ける。
「.....何だ」
「.....その.....話が有るんだけど」
「.....それは今じゃなきゃ駄目なのか?河瀬さん?」
安藤が威嚇する様な声を発する。
教室も動きを止めて俺達の方を見てきていた。
その中で白夜だけが?を浮かべている。
河瀬をジッと見ていた。
「.....この人.....」
「.....俺が小学校を引っ越したきっかけになった少女。ってか妬ましいヤツ」
それだけ呟いて、河瀬を無視をした。
のだが、次の言葉に.....俺は。
安藤は時が止まった様に反応した。
それはまるで、時計が止まる様な感じだ。
「.....え.....でも貴方、錦だよね?.....鍵の幼馴染の」
「「.....は?」」
「.....」
河瀬は頷いて涙を浮かべてそして流した。
顔を覆う。
俺は.....愕然とする。
鍵の幼馴染.....だと.....。
え?ちょ、ちょっと待ってくれ。
俺は頭が混乱してきた。
「.....やっと.....知ってもらえた.....。私は.....谷川翔太。貴方を.....鍵から護ってって言われていたのに.....私が突っぱねたりして.....周りの為に私.....貴方を犠牲にした.....御免なさい.....鍵の言っている事とは全く違う方向に進ませて.....御免なさい.....!!!!!」
河瀬の存在。
それは鍵が最後に遺した一つの事だった。
つまり.....河瀬は。
幼馴染として近しい俺を護って欲しいと.....亡くなった後の事を鍵に願われてそれで今まで動いていたのだが。
いつの間にか全てが反対の方向に捻れてしまい。
俺を突っぱねていた。
という事だ。
恋人になったのもそれで護るのが更に容易くなるからだったという。
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