第4話 白血病
安藤は知っている。
何を知っているかと言えば俺が幼馴染を失い。
そして.....再び恋をした少女に裏切られた事を、だ。
それは俺が話した。
そんな.....事の中で俺を気になっているという.....神谷さんのその全てを知った。
彼女は.....ガンを患っている事を、だ。
嘘であって欲しいと願う俺が居たがジョークでその場所には行かないだろう普通。
お見舞いであって欲しいが。
その様に考えながら、放課後、俺は.....神谷さんに会った。
下駄箱付近で待っている神谷さんに、だ。
彼女、今日は授業が早かったらしいから来たそうだが.....。
本気で俺の事が気になっているんだな。
何と言うか.....マトモに見れない.....。
神谷さんは制服姿で俺に?を浮かべる。
笑みを混じえながら、だ。
何時もの.....優しげな笑みだ。
「.....どうしたんですか?お兄さん」
「.....神谷さん.....」
貴方は.....ガンを患っているのか?と聞きたかったが。
とてもじゃないけど聞けなかった。
馬鹿でも聞かないと思う、多分。
そう言えば安藤は察して今日は帰ってくれて、俺と神谷さんだけとなっている。
俺達は校庭を歩いた。
「.....何故、この学校の事を.....?」
「.....聞いたんです。りゅーちゃんに。そしたら居ても立っても居られなくて来ちゃいました」
「.....」
彼女の笑みを見ながら心臓が鼓動を早めている。
これは.....恋じゃない。
不安だ、間違い無く。
これ以上、俺に関わる.....人間を失いたく無いと。
警鐘を鳴らしているのだろう。
だったら俺がするべき事は一つだ。
「神谷さん」
「.....はい?」
「.....俺と君は釣り合わない。だから俺にもう関わらない方が良い」
「.....あー。またそんな事を!.....そんな事は無いですから.....」
その言葉に、駄目だ、と俺は少し怒りながら告げる。
それから真剣な顔で向いた。
俺に関わると全ての女の子は不幸になる。
そして.....絶望になる。
「.....神谷さん。俺に関わらないでくれ。マジに」
「.....何でですか?」
「.....俺に関わると不幸になる。全てが」
「.....じゃあ尚更、放って置けないですね」
予想外の答え。
え、と俺は言った。
そして神谷さんを見ると、神谷さんは満面の笑顔だった。
八重歯を見せて太陽の様な笑顔を見せてくる。
その後に少しだけ悲しげな笑顔になった。
「.....私、知ってますか?.....血液の癌。.....白血病なんです」
「.....なん.....」
「これで最後の恋にしよう。そう思った方が貴方でした。だから.....放って置けないんです」
「.....」
俺は青ざめた。
神様。
俺は.....アンタを憎みたい。
全ての神々を.....信じられない様な.....感じがした。
五臓六腑が逆流しそうだ。
「.....やっぱり.....クラスメイトの目撃証言は嘘じゃ無かったんだな」
「あ、知っていたんですね」
「神谷さん。やっぱり駄目だ。俺は君を死なせる。幼馴染と同じ様に.....死なせてしまう.....俺の不幸で.....!」
「.....私.....そんなに弱そうに見えますか?」
顔を覆っている俺に。
神谷さんが俺にそう言った。
見れば、涙を浮かべて俺を見ている。
俺は顔を覆うのを止めて見つめる。
「.....私、お兄さんの事がもっと知りたいです。その.....亡くなったって言う幼馴染さんの事も。だからそんな事、言わないで下さい。私は死にません」
「.....俺は二回も失敗した。だから.....」
「.....じゃあ私は貴方の側に何時迄も居ます。貴方が好きです」
直球の告白だった。
俺は.....衝撃を受ける。
通学路で.....通り過ぎる人がみんな驚愕する中での告白だった。
そして鞄を置いて、俺の手を握る神谷さん。
「.....私は.....お兄さんが好きです。最後に好きになったんです。もし駄目でも.....お婆さんになるまで.....そばで見守っていて下さい」
「.....何でだ。.....白血病なんだろ?.....何で君はそんなに強いんだ.....」
「.....私は強くなんか無いです」
強いさ、君は。
と言いながら.....駄目だ、涙が止まらない。
飴玉を買って貰えなかったガキの様に涙が止まらない。
でも.....俺は.....強く無いんだ。
恋をしちゃいけないんだよマジに。
「.....ごめんな.....本気で答えたいけど.....」
「良いんです。.....でも.....いつかは答えを下さい」
「.....ごめんな.....本当に弱いから.....俺が.....もう失くしたくないんだ.....俺は」
「.....はい」
神谷さんは俺を見つめて、涙を流した。
女の子の方から告白されたのに俺は.....答えられず。
ただ涙を流す事しか.....出来なかった。
どうしたら.....良いんだろう。
俺は.....どう答えるべきなんだろうか。
もう恋愛なんて.....しようと思って無かったのに。
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