第4話 眠れる少女と執事?2
今、人生で生まれて初めてリムジンに乗ってます。なんというか広くて椅子がフカフカで前の席には運転手にめちゃくちゃ屈強なグラサンかけたボディーガードがいます。
なんていうんだろうこの気持ちは、そうだ!この気持ちは!
「うん、帰りたいってか戻りたい」
間違いない、この気持ちは場違いってやつだ。
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実は昨日執事にならないか?とか言われたり、その勤め先は大手ホテルグループの代表取締役の豪邸で、そしてその代表取締役の一人娘の美少女と同じクラスなんです…。
なるほどこれは夢だろ。夢なんだろ?なら早く覚めてくれ。
「乙部君…?その…机に頭を打ち続けているけど…大丈夫…?ではないよね」
「
「乙部君これ現実!」
そんな心配をしてくれるこの子は、
馬鹿な、執事も一人娘も全部夢じゃないのか…。
「乙部~お菓子ちょうだ~い、昨日も結局くれなかったし~」
この眠たげに話しかけてくる少女は、
「昨日のお菓子の件まだ覚えてたのかよ…。言っておくが今日は何も持ってきてないか…」
…そういや朝作ったマカロンあるな。まあわざわざ出すことないよな。
「は~い、乙部ダウト~」
「え?マカロンなんて持ってきてないぞ」
「なるほど~、マカロンが入ってるんだねっ」
「なんでわかったんだ⁉」
なんだこいつ⁉エスパーか何かか⁉
「乙部君…噓が下手すぎるよ…」
月野の謎の能力に戦々恐々としていると、咲音の客観的で鋭い言葉が俺のメンタルをえぐっていった。
生まれて初めて知った驚愕の事実、俺噓下手なんだ…。
「おいしいねぇ~」
人の気なんていざ知らず、おいしそうにマカロンを頬張る月野の姿があった。
こいつ、マイペースすぎるだろ…。
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そしてその後はいつも通りだった。いつも通り授業を受けて、いつも通り飯を食べる。
「えーと、乙部優?だっけ?」
「あむ?そうだけど?」
昼休みに弁当を食べていると、ある男子生徒が声をかけてきた。
誰だ?顔見知りってわけでもないだろうに。
「俺は
「…ぁあ!いいよ、ちょうど一人で寂しかったんだ。」
「サンキュ!んじゃ隣失礼して…ってお前の弁当すごいな?なんか彩りよくて美味そう…」
「ん?こんなん朝の間にサクッとできるものばっかだぞ?」
「マジかよ⁉お前すごいな…。」
なんて他愛もない話をしあって、気づけば昼休みが終わっていた。
おぉ…ついに俺にも友達が…。こんなにすんなりできるもんなんだな。びっくりしちゃうぞ。
そんなこんなで学校も終わり、皆帰る準備を終え、ぞろぞろと帰って行くとこだった。
「乙部ー!帰ろうぜ」
「わかったわかった…。ちょい待ってな」
遠山が帰りに誘ってくれて、帰りの準備を終えようとしたとき、いきなり右腕を掴まれた。
「乙部~仕事があるでしょ~」
「へ?仕事?」
まさか執事の仕事のことか?あれなら仁さんにはまだ返事は返してないはずだが…。
「あれならまだ返事はしてないからいかな…」
「乙部に拒否権なーし、行くよ~」
言い切る前に掴んだ俺の右腕をズルズル引っ張っていく。驚いたことに意外に力が強く、強制連行されてしまった。遠くで微かに「この裏切り者ー!」という声を聞きながらもリムジンへと連れてかれてしまった。
「まさかここから月野の家に行くのか?」
「当たり前でしょ~、そこが乙部の働く場所なんだから」
「てか軽く拉致じゃんこれ、警察に連絡すれば助けてくれ…」
「うちの権力だったら余裕で隠蔽できるね~」
「敵が強大すぎたっ…!」
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