VOL.7
ドアには鍵がかかっていなかった。ノブを握って確かめてみる。
俺は拳銃を構え直すと、内側に向けて押した。
難なく中に向かって開く。
拳銃を構えて隅から隅まで見まわした。
がらんとした、殺風景な部屋だったが、テーブルと椅子にソファ。それから小型の冷蔵庫があり、その椅子に写真で見た通りの男女が並んで腰かけていた。
女の方はピンク色の七分袖のTシャツにジーンズ。男性も似たような
『浅川ルイさんと加納俊太君だね?』
俺を不思議そうに見上げている二人に、片手で探偵免許とバッジを提示した。
『君たちを助けに来た。訳は後で話す。すぐここを出よう』
相変わらず部屋の四隅の壁には、カムフラージュしてはあるものの、小型カメラがこっちを睨んでいるのがすぐにわかった。
『ハトは捕まえた。そっちは?』
俺は続いて携帯を出すと、外にいるジョージに声をかける。
『オーケー』
ジョージの勝ち誇った返事が戻って来た。
俺は肩を撃ち抜いた男を引っ立てて、人質になっていた二人と共に外へ出てきた。
ジョージは、迷彩服を着た連中を集めていた。彼の足元には、同じ型の銃が人数分転がっていた。
『これオモチャだぜ・・・・ちょっと細工してパワーアップしたエアガンだわ』
ジョージは手の中でパチンコ玉より少し小さいくらいの玉を何発か弄んでいる。
要するにBB弾と言う奴だ。
俺は自分が撃った男の持っていたM4を確かめてみる。
なるほど、確かにエアガンだった。
『どういうことなんだ?説明して貰おうか?』俺はちょっと凄んで、俊太とルイの方を見た。
『どうって・・・・僕らはただ木滑さんに言われた通り・・・・』
『シッ!』
目を吊り上げて、ルイが俊太の脇腹を肘で小突いた。
俺はまだ足元にへたり込んで、青い顔をしていた迷彩服姿の男たちの方を見た。
『さあ、今度はお前たちの番だ。俺達は警察じゃないんだからな。口を割らせるのに多少荒っぽい手も使うことが出来る。どうするね?』
後で派手なエンジン音が聞こえた。
見ると、柵の外に停まっていたワゴン車が、大慌てで走り去ってゆくのが見えた。
『・・・・僕ら、バイトなんです・・・・』
彼らは所謂『サバイバルゲーム』とやらを趣味にしているグループで、本物の銃が野放しになっているご時世にオモチャじゃ物足りない。そう思っていたところに、ある人から頼まれたのだという。
『もっと詳しく話を聞こうじゃないか?』
『あの、僕たちは?』
俊太がおどおどした声をまた出した。
イケメンのアイドルだってのに、情けないやつだ。
『主役が逃げちまったら、映画にならないだろ?封切り前のインタビューってのは、スタッフ、キャスト、全員でやらないとな』
俺はにやりと笑ってM4を構えてみた。
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