天衣 凱斗 ORIGIN climax phase 01

立春、暦上では季節が巡り春となる

布団で暖めておいたという██を無視して朝食の用意をしていく。

一人で住むには少し大きいダイニングルーム、窓から射し込む陽の光が、薄黄色のカーテンを通して室内を明るく照らし、木造のテーブル、料理器具の揃った台所……何故か鍵の付いている冷蔵庫があった、中身を確認すると2日分の食糧と調味料が揃ってるようだがなぜ鍵が付いてるんだこれ。

そんな疑問は後にしようと、パックに入っている生ハムにキャベツ、25cm程の厚さの食パン一斤を取り出し、まな板へ置いて料理を始める。

切れ味の良い包丁が揃っていたようで特に力を入れずとも切れる、キャベツを細かく刻んで生ハムを薄くスライスして、半分に切る。最後に食パンを手頃な厚さに切って先程のハムとキャベツを挟み込むようにすればサンドウィッチの完成だ。

この後支部に行って紹介等をしなくてはならない、だから朝食は軽めので大丈夫だろう。

暇な時に読んでいた料理の本が役に立った瞬間だったと満足しているとヒョイ、と横からサンドウィッチを取られる、不服そうにそちらを見れば美味しそうに頬張る██がいた。

自分で作って食べたらいいのでは?と聞くと

「んー、かいとんがどういうのを作るのか気になったのとお腹空いたから。」

何故そうなる、思わず突っ込んだがその前にかいとん、だと?まて私は天衣凱斗であってと訂正するが減るもんじゃないからいいじゃん?とニコニコと流した。

そういう問題、なのか?いや、こちらの支部ではそうなのだろうか?

そんな逡巡なんのその、彼はそれじゃご馳走さまーとバロールのエフェクト、〈ディメンジョンズゲート〉を使用して空間を捻じ曲げて知っている場所に繋ぐ門を潜り消えて行った。

……まさか、昨日から泊まっていた?何故そんなことする必要が……、彼は一体何をしに来たんだ……?

首を傾げながらも時計を見ればもう時間もあまりない事に気付いた

皿に残っていたサンドウィッチを掴み玄関の扉を開けて支部へと急ぐ。


しかし、気にする必要はない、以前のようにまた人形のように心を凍らせて、人の話を聞くだけに徹していれば……もう


脳裏にはまだ幼い頃に出会ったコードウェルの残滓が残っていた、考えるとまた胸がチクリと痛む。


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