翼遊超気という人間
数日後。精霊の宇宙【エレメンタルワールド】。
創造歴2XX1年、時期は春。五聖獣【中央の麒麟】その縄張り。蒼き惑星【地球】。
【花の国、ツリー県、ルミネ市、アドバンス地区、冬梅4丁目、ルミネ小学校、その付近】。
山と海に挟まれた町並み。ここに、この物語の真の主人公が目覚めようとしていた。
少年の名前は翼遊超気(ふゆうたつき)。10歳、小学5年生。この少年の最大の特徴は、考える前に行動を実行に移す所だろう。だから少年は会話をする時『深く考えない』で、反射的に会話のキャッチボールをする。
Q:なぜ少年は思ったことを口に出してしまうのか?
A:少年は何でも単純明快にしたがる。この少年に問いを投げかけると。反射的に答えが返ってくる。格闘技の反復練習を毎日やっているので、一瞬の判断で体を動かさないと負けて、結果的にひん死になってしまう。だから、生きるために。何かしら問いを投げかけられると。真っ先に手足が動き、次に口が動く。本能的とも言えるだろう。
少年に答えを求めると。主語と述語を単純明快にフィルターにかけた『的を射る答え』か。
主語と述語が無い『誤解の生じやすい答え』。この2種類のどちらかが返ってくる。だが、結局、単純明快にしたがるので。少年の会話は全体的に言葉が少ないのだ。
だから、これから記す事は。翼遊超気自身の考えではなく。少年を取り巻く他者が観測した。超気が行動し、実行した結果論である。かなり疑う怪しい内容も入っている。
いわく、神様はいると信じるタイプだが、出会った事がない。
いわく、バカだけど空手が強い。怪我も寝て起きた次の日には完全完治している。
いわく、小学5年生のクラス全員を巻き込んで、暴力団を壊滅させた。
いわく、一回遊んだら、その人とは友達になっている。戦ったら仲間になってる。
いわく、生身の体で、ジャンプで空を飛んだり。壁走りをしたり。波動拳を放つらしい。
いわく、兄はもっと強いけど現在は行方不明。
いわく、魔王を倒した。巨人を倒した。ドラゴンを倒した。
いわく、頭を使うゲームには弱い、体を動かすゲームには強い。
いわく、正義のヒーローにすでに成っている。ヒーロー達とは友達。
いわく、おとぎ話の国に友達が100人いる。100人の願いを叶えた。
そんな彼は、朝。寝ている。自分で起きようとする気配は全くない、目覚まし時計もセットしているのだがその役目を果たしていない。ピピピピピ、と音はけたたましく鳴るのだがそれを無意識に反射的に消してまた寝てしまう、もはや日常茶飯事な出来事なのだ。
そしてこれも、いつも通り。だが今回は初の転校生という大事な日なのだが、彼はようやく目を覚ます。
エレメンタルワールド~リビルドキーデータ~ ゆめみじ18 @hanadanngo
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