第22話

  浮気の証拠を職場にばらまいて、身内にも不倫していることをばらす。ばらされたくなければ金を用意しろ・・・。いっぺんにいろいろなことを言われて頭の中が整理できない。


 寒い。私は裸だった。


 目の前にいる彼はいつの間にか服を身に着けていた。服を着ているか着ていないかというだけで、彼をとても遠くに感じた。一時間ほど前まではお互いの体温を感じながら体を重ねていたのに今はまったく違う世界で生きているかのようだった。

 

 彼は今、思い詰めた顔をしている。でも何とかしたいという焦りも見受けられた。それでも奥さんの言葉は絶対的なものらしい。私の顔を見ないで俯きながら、浮気がばれた経緯と家庭の中の状況、奥さんの怒り具合をかすれた声で話している。


 私の喉の奥でごくっと音がした。彼に聞こえたかもしれない。ショックを飲み込む音はそれぐらい大きく奇妙に鳴った。

 

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