第23話
「あ・・・あの、それで・・・え・・・えと、私どうしたらいいの?」
「だから妻に金を払わないと俺たちの関係が身内や職場にばらされるんだよ。二人でホテルに入っていく時の写真なんかも調査会社を使って手に入れているらしい。それもばら撒くって言っている」
「お金・・・いくら?私払えるかな」
話の流れで彼が私の代わりにお金を払ってくれる気はないことが伝わってきた。一瞬淋しいことのように思えたが、奥さんからしたら私にお金を払わせたいのだから仕方ないと思った。それでも俺も少し出すよ、という言葉がほしかった。背を丸めて俯いているだけの彼からはいつもの余裕が見られない。悪い意味で違う一面を見てしまったような気分になった。
「百万円・・・私が・・・私だよね、そうだね・・・」
関係がばれる日が来るなんて思いもしなかった。デートの時間はいつも短くて彼は常識的な時間に別れて家に帰っていたし、メールなどの連絡も用心して履歴が残らないように最低限のやり取りしかしていなかった。彼から奥さんに疑われているという話も今日まで聞いたことはなかったのにそれなのにどうして・・・。
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