第17話
あの時、夫はどうしていたのだろうか・・・。いつも通り用意した朝食を一人でさっさと食べていたが、その後のことは覚えていない。会話を交わした覚えもない。思い出せないということは今までと変わらないルーティーンのようにできていたからだろうか。もし夫を視界に入れたくないと、避けていたためだとしたらまずい。
娘がいる手前、どういう状況であろうと、あからさまに避け合うことはしたくなかった。ギクシャクしたとしても、いつも通りのパパとママを私たちは演じなければ娘に感づかれる。娘が感づいてしまったら、具体的なことを知らなくても、夫婦の間にある小さなひびから何かが零れ出しているということに気付いて今までにはなかった夫婦間の空気の違いも敏感に感じ取るだろう。
子どもは親が想像しているよりずっと敏感で聡い。特に女の子は女の気持ちの変化を悟りやすい。気をつけねば芋蔓式に知らなくてもいいことまで知ってしまう恐れがある。
仮にいつか私たち夫婦が離婚することになったとしても、ぎりぎりまで今まで通りの生活をしていたいと思った。全ては娘のため。その一心で自分を殺しながら朝から笑顔を必死に作って、何事もないように一日をやり過ごさなければならなかった。
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