第11話

 私が夫の浮気を見抜くに至った流れはよくあるもので、今までほったらかしにしていたスマートフォンをやたら夫が隠すようになったり、頻繁に明るい着信音と共にメッセージが送られてくるようになってきたことに気が付いたところからだった。それから徐々に帰宅時間が遅くなり、休日には私に隠れながらこっそり電話をしている姿を見ることもあった。


 日々積み重なっていく小さな疑惑は私に大きな不信感を与え、そこからさらに夫のスマートフォンや財布の中身を探り、積もりに積もった疑惑は確信へと変わった。そこからはもうまどろっこしいことはしたくなかった。ある休日の夜、夫に数々の証拠を突き付けて問い詰めた。


 結果から言うと想像通り、夫は浮気をしていた。私が凄んだりヒステリーを起こすまでもなく、真剣な顔で尋ねると拍子抜けするくらい素直に浮気をしていた事実を認めた。


 

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る