第2話
自分が一人で背負わなければらない罪を、自分以上に大きな罪として背負うことになる彩音が不憫でたまらなかった。
申し訳ないと思いつつも、春美の吊り上がった目が頭を過ぎると彩音を生贄として差し出すことが仕方なく思えてくる。無関係な女を守るどころか、鬼への生贄にしてしまう自分が不甲斐なく、情けなかった。だがやるしかなかった。不甲斐ない俺にだって守りたいと思える世界があるのだ、犠牲を払ってでも。
彩音はまだ動かない。うたた寝をしているのかもしれない。
相手が寝ていたから言えなかった、などと言う戯言が通用すればいいのに・・・。
仕方ないわねぇ、と呆れた顔をして許してくれたらいいのに・・・。
もし春美が俺の心の中を覗き込んでいたら、どちらの願望も撥ね付けて愚かな希望を持った夫だと詰るに違いない。わかっていても彩音のこれからを考えると素ではいられなかった。
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