第4話 一ー四
甲子園の地方大会の予選を控えた6月。由香は「話がある」と言い俺を学校近くのカフェに呼び出した。
『また今日もカフェデートか―?』
呼び出された時の俺はそんな由香の後から出てくる言葉を全く予想しておらず、そんな軽い気持ちで由香の誘いに応じた。
「おっ、待たせたな由香!」
いつもなら俺が先に来て待つことの方が多かったが、その日由香はそのカフェに俺が着く以前に来ていた。
そして、由香は俺に衝撃の一言を発する。
―繰り返しになるかもしれないが俺は頭が悪い方ではない。しかし由香の言葉をしっかり理解するのに、俺はいつもより長い時間、数秒を要してしまう。それは、その「別れて欲しい。」という言葉を俺の脳が完全に把握するのを拒否しているかのようで―。そう、例えばそれが火傷に関わることなら「反射」という人間の生理的な行動で済ましてしまう所なのだが、今回のケースはそれを許してくれなかった。
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