第4話 四

 今日はトレーニングでバッティングセンターに来ている。ちなみに最近のバッティングセンターはプロ野球のピッチャーの映像から球が投げられるタイプが多い。これは―、最終的にはプロを目指している僕たちにとって好都合だ。

 「さすが智哉、ナイスバッティング!」

僕は連れの相沢公彦(あいざわきみひこ)にそう声をかけられる。

 僕はそのバッティングセンターでホームランを何発も打った。そしてバッティングマシンの球速を徐々に上げていく。そうすることで目を慣らし、反射神経も上げていくのが今日の狙いだ。

 「おっ、公彦もいい感じじゃん。」

隣の公彦も運動神経はいいタイプだ。その日ホームランも僕と同じように打った友達に、僕は惜しみない賛辞を贈る。


 「あの―、猪口君だよね?」

僕はある日、相沢君に声をかけられた。

 相沢君は僕と同じように勉強も運動もできるタイプで、成績は僕と一二を争う隣のクラスの男子生徒であった。しかし―、僕たちの共通点はそれだけではなく、相沢君は見た目も僕と同じように良くなく、全く女子からはモテなかった。

 「―君は確か相沢君だよね?

 どうしたの?」

「実は―、」

 そして僕は相沢君にとあるスポーツクラブに入るよう勧められた。

 「へえー!面白そうじゃん!」

「うん。猪口君ならできるかな、って思って―。」

 プロの選手を目指す人もいるらしいそのクラブへの入会を僕は二つ返事で了承した。そして―、プロフェッショナルになることが、僕の夢にもなった。

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