第3話 三

 僕は小さい時から、「オタクっぽい。」と散々言われてきた。もちろん僕は小さい時からドジなタイプではなかった。かけっこなら誰よりも速かったし、分数の原理を理解したのもおそらく僕が学年で最初だろう。ただ、僕の見た目は―、はっきり言って醜かった。

 これだけは言っておこう。僕はその能力から、いじめの対象になることはなかった。実際僕には友達も少なからずいた。しかし―。

 僕は異性にはモテなかった。

 ―これは私見だが、「モテる」ということほど不確定要素の多いことはないのではないかと思う。例えば勉強や運動なら、そこにははっきりと成績という名の数値がつく。そして、順位、ランクもはっきりとつくのだ。しかし「モテる」ということは―、数値では表されないものだ。つまり僕に言わせれば何を頑張ればいいのかが分からない。しかしそこにははっきりとした「順位」、「ランク」は存在している。そう、まるで数値化できないのに、「ランク」だけは勉強や運動と同じように、いやそれ以上かもしれない価値で存在しているのだ。

 

 まあ「モテたくない」と言うのは、モテない人間の言い訳だろう。特に小学校高学年からの僕はそのことをかなり気にし、自分の見た目の悪さを嘆いていた。

 『もっと髪型や服装を工夫すれば―!』

僕はそう考えてもみたが、そこを修正しても見た目の悪さはごまかせなかった。そして、

 「猪口君って、何でもできるけど、彼氏にしたい?」

「嫌。絶対ムリ。あの見た目の隣歩くなんて―ね。」

「だよねー。」

 僕は中学生になり、そんな陰口を女子たちに頻繁に叩かれるようになった。

 

 ―もちろん僕だって悔しい。だから僕は努力した。そう、勉強で学年トップになり、体育大会で活躍し、あと髪型や服装にも僕なりに今まで以上に気を使い―。

 しかし、勉強や運動の成績が伸びても、「見た目」、「モテ」という成績は一向に伸びなかった。

 『まあ、モテなくても人生終わるわけではないし―。』

 僕はそう自分に言い訳をしていたが―、やはりモテないのは悲しい。

 そして、そんな日々を過ごしていた僕の中学生活が半年を迎えた頃―。

 僕は【ある物】と出会った。

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