第4話 四

 しかし、自分で素振りを何回しても、何回練習してもクセは見つけられなかった。

 一応三木は自分の素振り動画をスマホで撮影し何度も何度もチェックする。またそのスイングを、ストレートを待っている時、変化球を待っている時などと状況を想定して変化させる。しかし、当然のことながら2種類のスイングそのものに違いはあるものの、そのスイングをする前、ボールを待つ段階でのクセは見つけることができなかった。

 『こんなはずはない!俺にはクセがあるんだ!早く見つけないと大変なことになってしまう―!』

 三木はそう考え、スイングを繰り返す。しかし何度やっても待ち方は同じ。またスイングを不安定な精神状態で繰り返すため、その素振りにブレが見られるようになり、思うように素振りができない。

 『―こんなはずじゃない!俺は―、こんな所で立ち止まるわけにはいかないんだ!』

 三木の気持ちはクセに関することからも離れ、自分のスイングそのもの、また自分の野球のプレーそのものへと悪い意味で拡大していった。

 『俺は、プロになるんだ!こんなとこで、足を引っ張られるわけにはいかねえんだ―よっ!』

 本来の三木は高校野球をプロと比べて「こんな所」とは決して言わないであろう。しかし、三木はバットを振れば振るほど追い込まれ、そんな思考を持ってしまう。

 『あーーーーっ!』

 そして、三木はその場に倒れこむ。

 『もう限界だ―。少し休もう。』

三木はそう思いスマホを何気なしに見る。

 すると、1つの広告が目に飛び込んできた。

 《相談なら何でも承ります。》

 それは、とある占い師の広告であった。

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