第8話 六ー三

 「ファウルボール!」

次の相手ピッチャーの豪速球を俺はバットに当てることができた。そしてその感覚は―、大げさではなく手が折れそうな痛覚であった。

 しかし俺は無心を貫く。これは「ゾーン」と呼ばれるものか。

 「ファウルボール!」

次の緩めのスライダーを俺はへっぴり腰になりながらも何とかバットに当てた。俺も、そう簡単にやられるわけにはいかない。

 ―しかし。

「ストライク!バッターアウト!」

緩急の差について行けず、俺は次のストレートを豪快に空振りした。

 そして、

 「ゲームセット!」

俺たちの「甲子園」が、終わった。

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