第2話② 日本刀がおかしな事になってるんですが(改稿後追加エピソード)

「なっ……なにコレェ?!」


 私は自分の左手の中で赤く輝く日本刀に驚く。

 そして、慌ててそれを手放そうとして──ウソ! 手から離れない!!

「ちょっと! 取って……コレ取って!!」

 私はバタバタと立ち上がって、その危険臭プンプンの日本刀を驚き顔の二人へと差し出す。

 と──


 ギャリリッ


 変な音がまたして、アスファルトに亀裂が入り、次の瞬間抉れて水が吹き出してきた。

「ヒィ!!」

 私は怖くなって左手を振る。

 すると今度は、半分になった電柱をぶら下げていた電線が切れてバラバラとアスファルトに落ち、バチバチという音を立てた。

「ちょっと! こっち来ないで!!」

 黒レース女が、私が差し出す刀から既に結構離れてるにも関わらず、更に慌てて距離を取る。

 なので筋肉ダルマの方へと刀を向けた。

 ギャリッ

 またアスファルトが抉れた。

 まるで薄くスライスしたかのように、斬れたアスファルトが捲れ上がる。

「こっち向けんな危ねェ!!」

 筋肉ダルマもズザザっと後ろへと飛び退いた。

「なんで逃げんの?! 欲しいんでしょ受け取ってよ!!」

 逃げられた私、涙目。

「そりゃ逃げるわよ馬鹿! その状態じゃ受け取れないの!!」

「と……兎に角、まずソレ手放せ!」

 私から距離をとった二人は、私をなだめるかのように両手を突き出していたが

「取ってよ! 手から離れないの取って!!」

 私が半泣きで左腕を突き出すと──


 ギャリリッ


 今度はブロック塀の反対側にあった鉄柵が横に真っ二つになって倒れこんできた。

「振り回すなヤメろ! 大惨事になる!!」

「消して! 早く消してその刀!! じゃないと辺りが大変な事になるわよ! っていうかもう、なってるわよ!!」

 筋肉ダルマと黒レース女が手をバタバタ振りながらそう悲鳴を上げたけど……

「どうやって?! どうやって消すの?!」

 どうやって左手から生えてきたのかも分からないのに消せないよ!!


 崩れたブロック塀と鉄柵、倒れた電柱とぶら下がる電線、そして斬れたアスファルトに地面から噴き出した水。確かに周りは大惨事。

 辺りは局所的豪雨に見舞われたかのようにビッショリになり、水溜りが出来ている。

 徐々に大きくなるその水溜りが、未だバチバチという音を立てる切れた電線に迫っていた。

「あ──」

 ヤバイ。

 咄嗟にそう思ったが、思っただけで動けなかった。


 電線が水に触れるのを、ただ見ている事しか出来なかった。

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