結章
第41話 意を決したんですが。
全身鏡で見た自分の身体は、本当に傷だらけだった。
擦り傷の
背中はまだ鈍痛が残るが、もう動くのに支障はない。
痛いところには湿布を貼る。でも、
頬の
まったく。こんな傷だらけの身体じゃ嫁に行けないねェ。
予定もないけど。
その身体をいつもの普段着で包む。
ジーパンにフルジップパーカー。中には白のカットソー。
……まるで近所のスーパーに行く時の格好だ。おおよそ戦いに行こうとしてるなんて思えないだろう。
会社には先日、階段から落ちて背骨を骨折したので更に一週間休みを貰うと連絡した。
うん、嘘はついてない。
支局の方からも一日完全に休みを貰い、休養に専念した。
一晩中治療に尽力してくれた
恐らく、ルリさんも休んでいるだろう。
そう、戦いに向けての休みだ。
SNSから集めた情報を精査して、アイツ──
この情報を元に、ヤツの今の居場所を特定する方法を
上手く行くかは五分五分だと
……アイツの実家が金持ちで食うに困ることはないから会社勤めしてないんじゃないか、という事を
やはり、
ヤツの居場所が特定できたら奇襲をかけに行く。
居場所を特定したとバレる前に。
そして──能力を取り返す。
それは私にしか出来ない事。
だからこの戦いは、ズブの素人である私が鍵となる。
その為に、皆んなが私に賭けてくれた。
その期待にも応えたい。
私は家を出た。
時間は朝。天気は秋晴れ。空気がまだヒンヤリしてて気持ちよく、薄い雲が空の高い場所に流れている。
平日のこの時間の住宅街は少しだけ慌ただしい空気が。でも、遠くから子供達の笑い声が聞こえてくる。
とても穏やかな気持ちになった。
絶好の戦闘日和……かな。
私は意を決して、支局へと足を進めるのだった。
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