第35話 敵の正体が分かったようなんですが。
「SNSのデータはどうなんだい?」
「今ロード中です。少し時間がかかっています。データベースのチューニングは
「そうかい」
「どうしたんですかー? 昨日本部で嫌な事言われちゃいましたかー?」
ルリさんがモニターから視線を外さず問いかける。
翌日日曜日。
あまり寝れなかった私は早朝に支局へと赴き、必要な設定などを行なう事にした。
事務所の入り口には鍵がかかっていなかった。中に入りいつもの部屋へと来ると、
私は自分のノートPCを持ち込み、ルリさんの隣の机に陣取って作業を開始した。
暫くすると
そんなこんながありつつ今。
珍しく、ゲンさんもこの部屋に来ており、応接室のパーティションを取っ払って、ソファに座ってコーヒーを飲んでいた。
「情報共有だよ……まずは。
全員の顔にゆっくり視線を這わせながら、
その言葉にドキリとする。手掛かりの一端だ。しかし、
「二人は……あの
その言葉に、私以外のメンバーが
私一人が疑問顔。
「セイコウガッカイ?」
「あー。簡単にいうと、同業他社でーライバルですねー」
「ライバル?」
「同じく特殊技能集団ですよー。ただ
「……ここの人たちだって充分過激なのでは……」
「まぁ
ルリさんの説明を引き継いだのは意外にもゲンさんだった。
「アイツらは能力至上主義だ。能力がなけりゃ所属できねェ。
……
苦々しくそう吐き捨て、憮然としてコーヒーをあおった。
「……ただね、
だから、あの二人は学会の組織的活動とは別のところで動いてるんだろうね。
……
そこで一度
「……
なるほど。これが、さっきから
例えばコレを国に置き換えて考えると簡単だ。
A国の人がB国の人に何かした時、B国が国として対応しようとするとA国との外交問題に発展しかねない。だから、B国側も個人が個人として対応をしなければならないという事か。……合ってる?
「少なくとも私は動けない。だから今回の事は、ルリ、
ゲンの力は存分に借りるといい」
でも一言
「任せろ」
と、心強い言葉をくれた。
「……ただね。今回そっちの件は大したことないんだよ。問題は本部の方だ……」
更に難しい顔をして、
「……言いにくいんだけどね。本部から厳命が来たよ。一週間以内に、
取り潰し……?
何それ。本部は味方じゃないの……?
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