第27話 重苦しい空気なんですが。
今日の夜は曇天。分厚い雲が空を覆い、星は全く見えなかった。
湿った重苦しい空気が街中を覆い、雨の予感をさせている。
それ以外の理由でも、重苦しい空気は漂ってたけど。
道の左側を歩くのは私。ひたすら黙々と歩く。
道の右側を歩くのは
そして、その真ん中を歩く
「い……いたたまれないっ……」
空気の重さに耐え切れなくなった
「お願いですから……何か話を。沈黙に押し潰されそうなんですけどっ……」
「……口を開くと、
「あと一回余計な事言ってみろ……
「ああああ……文字通り修羅場……」
折角ご希望の会話をしてあげたのに、
今日の帰路。
いつもだと私と
それを言い渡された時の
ちなみに、同じく
「家に置いてあるキャリー受け取ったら、今日はサッサと帰りなよ」
道を歩きながら、念の為もう一度
「蜜月も終わりか」
そう肩を竦めてフルフルと首を横に降る
私の方を慌てて見て、刀を握っていないことを確認してホッとしていた。
ふーっと大きく一つため息をつき、
「
「普通など知らない。俺は俺の愛のままに我儘に──」
「自重ッ……」
この二人のやりとりを見てると、選択の余地なく
でも、それが『組織として能力を活用できる』という視点で見た時には違うような気がする。
他人に押し切られて利用されてしまう可能性を秘めてしまう。……まぁ、
かといって、我が道を行き過ぎる
いざという時に組織の歯車になり切れないようでは、不穏分子として強い力は与えられない。
すぐに能力を譲渡はしないだろうけれど……
私も、その判断の一端を担うつもりで、
大通りの車通りがふと途切れる。
音によりそれに気づき、何の気なしにそちらへと視線を向けた時だった。
猛烈なエンジン音と共に、私の真横で急ブレーキが踏まれた音がする。
え、と思った瞬間──
「
叫んだのは
しかし確認する余裕もなく、私は体に巻きついた白い糸に引っ張られ、車道側へと引きずられた。
倒れる──と思った瞬間私の腕を誰かが掴んで動きを止めさせる。
反射的に見ると、
「
何とか私の体を歩道側に戻そうと、
一瞬引き合いになるが、ぶっとい腕が私の胸倉を掴んで強い力で引いた為、
私の体が、扉を開けて待っていた車の後部座席に投げ込まれる。
動こうにも腕ごと白い糸が巻きついて動けない。バタバタと足だけで暴れたら、呼吸が止まるほど白い糸が強く私の身体を締め付けた。
「大人しくしてなさい」
聞き覚えのある、鼻にかかった甘ったるい女の声。
「させないッ……!」
車の扉めがけて
しかし彼の手が車に届く前に、振り抜かれた筋肉ダルマ・
後ろに思い切り吹き飛ばされ
「出るわよ
運転席に座った黒レース女・
「逃すか!!」
閉められる前の扉に、
ヤツがバランスを崩して扉から半分落ちそうになった瞬間を狙い、その身体を掴んでよじ登り、
「車を止めろ!」
彼がそう叫ぶが、
すると、
「止めないと斬る!」
彼は手にした刀を運転席に座る
扉を無事に閉めた
後部座席は三人の人間でひしめき合っていて身動きが取れない。
痛むのか呻きながらも、なんとか身体を起こして対応しようとする
ゴンっという重い音がした瞬間、
「
彼の身体が私を座席に押し付けてしまい、全く身動きが取れない。力の抜けた人の身体って重いッ……
「大人しくしてろー。怪我したくなけりゃな」
どうする事も出来ず、私はヤツの顔を
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