第19話 俺は天使になる


「そんなことねぇよ……スティーヴ…ぎゃくだ、あまえてたのはおれほうだ。おれおやてられ、しょくにもありつけない…こんな世界せかいに、希望きぼういだせなくなって…どこか……ゆめことおそれていた……。だから…おれとはちがい、未来みらい希望きぼういだき、まえいてあるいている3にんに……そんな3にんおれは、すがっていたんだ……。」


それは不思議ふしぎ光景こうけいだった。たがいを気遣きずかあやまりあうこの光景こうけい、そんな光景こうけいみだせたのはやはり、彼等かれらたがいをおもい、ささい、きてきた、彼等かれらふかむすばれた友情ゆうじょうによるものなのだろう。



「あははは、レオならそううとおもったよ、自分じぶんほうがあるって」


「あっはっはっ!なんでもお見通みとおしだなスティーヴには!!かなわねぇわ」

レオはスティーヴに自分じぶん気持きもちを見抜みぬかれていたのがずかしかったのか、かおあからめた。


「レオ!!俺達おれたちにすがっていたとうなら、それはもう今日きょうまでにしろ…俺達おれたちはもうこの世界せかいにいないんだ」


卑屈ひくつなレオをしかるようなあらげたこえしたのはウィリアムだ。


俺達おれたちんで、まだ1にちっていないからいますぐなおれっていうのは、こくかもしれねぇ……。だけどレオ、おまえきべそかいて、グズグズと弱音よわねような、そんなやわおとこじゃないだろ!!……。それか…俺達おれたちをガッカリさせるようやわおとこだったのか?」


ウィリアムはスティーヴとちが語気ごきつよい……のだが、けんつよいレオにはスティーヴのその焚付たきつけ言葉ことばは、いまのレオにはてきしているのかもしれない。


さらにともたちのこえつづく。つぎはデフォーがレオにかたりかけた。


「たしかにこの世界せかい残酷ざんこくで……レオにぃうようにおやてられ、しょくにもけなかった、それに…………挙句あげくてに僕達ぼくたち3にんんじゃった……。だけど…レオにいきてる、僕達ぼくたちちがってきているじゃないかレオにぃは……だから、まえいてあるいてかなきゃ!!……せてよ…僕達ぼくたちんでしまったことやむようなかたを……僕達ぼくたちせてよレオにぃ………。この世界せかいは、最高さいこうだぞおまえら……って」



     「デフォー……………。」


レオにとって一個下いっこしたのデフォーはおとうとみたいな存在そんざいだ、施設時代しせつじだいデフォーは気弱きよわ虚弱きょじゃくだったからか、おな施設しせつ子供達こどもたちによくイジメられていた。やりかえせない性格せいかくのデフォーはことしかできないでいた。だが、レオはそんなデフォーをよくたすけイジメっ子達こたちらしめていた、もちろんかえちにことすくなからずあり、それは相手あいて上級生じょうきゅうせい体格たいかくもレオよりく、ケンカがつよかったときだった。だが、たとえかえちにおうが、大怪我おおけがしようが、最終的さいしゅうてきに、相手あいてがデフォーにあやまるまでレオはしぶとくらいつき、相手あいて根負こんまけさせていた。


「レオにぃ……これはずかしくてうつもりなかったけど……ぼくがね…保安官ほあんかんになりたいとおもったのはね……レオにぃ……なんだ……。」


        「えっ!?」


「レオにぃはいつも、イジメられていたぼくたすけてくれた。レオにぃぼくのヒーローなんだ、だからレオにぃのようにこまっているひとたすけてあげたい……そうぼくおもったんだ」



レオは粗暴そぼう自分じぶん大人おとなしいデフォーのあこがれの対象たいしょうになるなんておもわなかった。「優等生ゆうとうせいのスティーヴじゃなくて?」とおもったが、そこは素直すなおうれしかった。



「レオ…デフォーのうとおりレオは……」


「スティーヴもういい、もう十分じゅうぶんだ……みんなのおもいは十分じゅうぶんつたわった」


そうったレオはなみだながしてはいるもののこころれやかなかおをしている。どうやら直接ちょくせつともたちからの言葉ことばはレオをなおさせたようだ。


「ほんとか〜〜?またくんじゃねぇのか?」


「うるせぇ!ウィリアムからかうんじゃねぇハッハッハッ」


ウィリアムがレオをおちょくってきた。んでいるものたいしてこううのはすこへんだが、ウィリアムの性格せいかくならレオを一生いっしょうからかえるネタができたとおもっただろ。それにたいしてレオは「しまった」とおもったはずだ。



「それによ……おれにもゆめができそうだ…。いやできたのほうただしいかな」


      「えっ!?ゆめ…」


「あぁかなえたいゆめだ」


きゅうだな!ガハハハ!!」


「…デフォーがおれ影響えいきょう保安官ほあんかんになりたいとゆめはなしをいて……ゆめづけた」


「そうか……レオにもゆめができたんだ……どんなゆめなんだい?」


そうってスティーヴはレオをつめた。またデフォー、ウィリアムもレオをつめる。



「そだな……おれは…天使てんしになる」


      「えっ!?!?!?!?!」


スティーヴ、ウィリアム、デフォー、の3にんはレオのおもいもよらない天使てんしになるという非現実的ひげんじつてきゆめに、おもわずこえそろえておどろいてしまった。いままで天使てんしという存在そんざいうとんでいたから尚更なおさらおどろきだ。


「そしてよ……天使てんしになってみんなのゆめかなえたい」


ぼくおれたちゆめ⁉!?!?」


さらにことうレオにスティーヴたちは、さらにおどろき、そして困惑こんわくする。


「ま…って!天使てんしになるのと僕達ぼくたちゆめ、どうかかわりがあるの?……それに、なぜ…僕達ぼくたちゆめかなえようと……。」


スティーヴはレオの真意しんいたしかめる。スティーヴのそのいにレオはあたまをポリポリかきながらこたえた。

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