第18話 友よ…再び


「スティーヴ…おれにはゆめなんて…みんながおれのすべてだったんだ」


レオは完全かんぜん活力かつりょくうしなっていた…。敵討かたきうちもできなかった自分じぶんちからさからくる、やりのないいかり、そしてこれからをきていくこと意味いみがあるのかと、なやくるしんでいた。


      「よし……」

ディエールは気合きあいをれた。


レオにはいやしのちからかないことはディエールにはわかっている。だからスティーヴらの言葉ことばりながらもレオをどんなに時間じかんをかけてもがらせるつもりだった。


……だがディエールがレオへと意識いしき完全かんぜんけたその瞬間しゅんかん……。


ディエールの予期よきせぬことがおこる。船上全体せんじょうぜんたいめぐらしていた、ディエールのいやしのちから反響はんきょうしたのか、スティーヴ、デフォー、ウィリアムのたましいがディエールのそれに共鳴きょうめいしあった。



「いつまでもクヨクヨするなよ、レオらしくないぞ」


「そうそう!!」


「レオ…まえいてきなくちゃ…自分じぶん人生じんせいを」



「えっ!?ウィリアム、デフォー…スティーヴ?」


それはせい天使てんしディエールのくちからかたられる3にん言葉ことばではなく、3にんたましい直接ちょくせつ霊体れいたいとなってレオのまえあらわれ、かたりかけていた。



「これは…わたしちからではない……わたしちからとはスケールがちがう」


どうやら、この現象げんしょうはディエールにはあずかりらずらしい。


ディエールはレオをた。

「レオ……これはきみちからなのか…?」


ディエールはそううものの、なぜこのよう現象げんしょうきたのか、それはさだかではなかった。


ディエールのちからなのか、はたまたレオの覚醒かくせいしたちからなのか……。ただ1つひとつうならば、スティーヴ、デフォー、ウィリアムのレオへのおもいが、このよう現象げんしょうをひきこしたのかもしれない。


レオは3にん霊体れいたいちかづく、なによりたしかめたくて………そして3にんれたかった……………。



レオはそっと3にんれてみる、3にんにはぬくもりがありあたたかみがあった。それがたまらなくうれしかった。デフォーのいつもの寝癖ねぐせ蟹股がにまたなウィリアム、ながいまつのスティーヴ…あれから何一つなにひとつわらない3にん自然しぜんなみだながてきた。


「みんな…いたかった…もうえないのかと…」


感傷かんしょうひたるレオ、そんなレオをやさしく抱擁ほうようするかのようにスティーヴはレオにこうかたす。



「レオ……僕達ぼくたちおもいをいてほしい」


となりにいたデフォー、ウィリアムも、スティーヴのそれに賛同さんどうするかたちでレオをつめた。


         「あぁ」


そんな3にんにレオは満面まんめんみでこたえ、またつめかえした。


「レオ……おぼえてる?みんなでゆめかたりあったあのを」


おぼえてるさ…わすれるわけない………スティーヴ、デフォー、ウィリアム、ゆめってたみんなは、まさにこれからだっていうのに……それにくらべ…ゆめなんてない自分じぶんのこってしまって…この世界せかいは……残酷ざんこくだ……。」


きてしまったことはもういいんだ仕方しかたないよ……だけどレオはこれからじゃないか」


っただろスティーヴ…おれにはゆめなんてない、それはこれからもだ、みんながおれのすべてだった」


ゆめなんてない……レオはゆめかたりあったあのもそうってたね。おれはみんなみたいにゆめなんてないからいまはみんなのゆめささえるよ…ってレオはった」


「あぁそのとおりだよ、よくおぼえてたなそれがどうかしたのか?」


「……だけど…ぼくは、それはウソだとおもうんだ」


       「えっ!?」


「レオがった。その言葉ことば半分はんぶんウソで半分はんぶん本当ほんとうだとぼくおもう」


「ん????????????」


レオはスティーヴがなにってるのか理解りかいできなかった。


いや…………その意味いみに、ただ気付きづいていないだけかもしれない。


ゆめがないというのは本当ほんとうだろう、みんなのゆめささえるのも本当ほんとうだろう、だけどウソがあるんだ……レオはうそをついている」


「スティーヴ、いったいさっきから何言なにいってんだ?!容量ようりょうがまったくつかめないぞ!」


「レオ………レオは僕達ぼくたちゆめささえること第一だいいちにし、自分じぶんゆめこと第二だいにとしている‥…。だからレオは、自分じぶんからゆめようとすらしていない…レオのことだから自分じぶん犠牲ぎせいにしてまで、重労働じゅうろうどうとかなんかして、その生活費せいかつひかせいで、僕達ぼくたちすこしでもゆめへとめるようにと…かんがえてのことなんだろう……。どこかそんなレオのやさしさに…僕達ぼくたちあまえてしまったのかもしれないね……。」



レオが友達ともだちおもいであることをスティーヴはっている。


そして…レオはスティーヴが、自分じぶんおもっている以上いじょうに……|



自分じぶんを、おもってくれていたことをレオはらなかった。

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