第16話 レオ対ディエール


きみ無事ぶじではすみませんよ?」


「あいつは、スティーヴたちいのちをゴミクズのようにあつかいやがった……そんなことでもねぇよ」


ディエールのおどしにもレオの気迫きはくどうじなかった。



だが……レオは生身なまみからだで、そのうえ怪我けがもしている、いどんだところでこぶしひとつもてられずにえることぐらいレオ自身じしんわかっていた。わかっていたが、スティーヴ、デフォー、ウィリアム、3にん無念むねんがレオを復讐ふくしゅうへとてた。


そんないそぐレオをディエールは、どうしてもかしてやりたかった。その気持きもちは、人間にんげんまもるという使命感しめいかんからくるだけのものだけではない、ディエールはレオにかれていたのだ、それはレオに天使てんし交信こうしんができるちからがあるからでも、天使てんしちからかえ特異とくいちからがあるからでもなく、レオのこのちるほどまでの、ともおもちからにディエールはかれていた。


人間にんげんとはこういうものか……。」


しかし、そのともへのおもいが強靭きょうじんなゆえに、レオのいのち、死というそこえない暗闇くらやみへとちかづけさせていた。


ともへのあい殉難じゅんなん同居どうきょするレオのこころ、ディエールはまずレオを、へとかわせていた殉難じゅんなん部分ぶぶんのぞこうと、おのれの、こころいやちからをレオにけた……だが…やはり効果こうかがない、あらためてレオの精神力せいしんりょくつよさにおどろかされる。だがディエールもレオをかすために、ここで退しりぞくわけにはいかなかった。


そしてディエールはある行動こうどうった。



レオと罪深つみぶかものあいだ自分じぶんふさがる。


それは天使てんし堕天使だてんし罪深つみぶかものまもるという奇妙きみょう絵図えず


「………どういうつもりだ?おれにかまうなってっただろ!おれいのちおれがどう使つかおうが、あんたらには関係かんけいないはず!邪魔じゃまするのであれば……………ディエールってったな…おまえをブチのめすまで!!」


きみは……くちではそうってますが、きみ無関係むかんけいものきずつける人間アダムの子ではない」


「ん?なんでそういきれる…!」


ディエールは無策むさくでレオのまえったわけではない。


「レオがケンカする相手あいてはいつも、イジメっ子や悪党あくとう僕達ぼくたちがいをなす相手あいて、だときみ親友しんゆうスティーヴがそうおしえてくれたのです。」



「!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?」


「だから、きみわたしにはさない」


「ス、スティーヴ!!??なんで……スティーヴ…おまえなにって……。」


ふいにともされ動揺どうようするレオ…。



せい天使てんしにはいやしのちからなかで、あいするひと大切たいせつひとくし、なげかなしんでいる人達ひとたちに、そのくなったもの死者ししゃたましい)の言葉ことばを、つたえるというちからがある。その言葉ことばときのこされた人達ひとたち明日あすへときるちからになる。

だが…とうレオは半信半疑はんしんはんぎだった、ディエールがった言葉ことば、それはともかたった方便ほうべんかもしれないと、しかし、あの3にんとくにスティーヴならそううかもしれない…どこかレオはこころうちではそうもおもった、げんにケンカする相手あいて事柄ことがらについてはズバリたっているのだから。


「それと、スティーヴ、デフォー、ウィリアムの3にんきみにこうもつたえてほしいと」


こころうごいているレオ……そしてそのこころれはつぎにディエールからおくられる言葉ことばでレオは…ちた。


「レオ…もっと自分じぶん大事だいじにするんだ、僕達ぼくたちおもいをレオが背負せおことはない、僕達ぼくたちためにムチャしてレオのいのちうしなわれたら、僕達ぼくたちかなしい……だからレオにはきてほしい、そしてレオがかなえたいゆめがどんなのか、僕達ぼくたちたいんだ」


それはまぎれもなく、ともこえだった、レオにきてほしいとねが最愛さいあいともの………。


「スティーヴ……スティーヴの言葉ことばだ………スティーヴ…デフォー…ウィリアム…が。」


ひざからくずちるレオ、それはレオの戦意せんい完全かんぜんがれた…というあかしだった、それをてディエールはホ                                          ッとした、レオいのち助けたすけられたと…………そして。



「これで、満足まんぞくか?冤罪えんざいのキルステン…おまえならげようとおもえばげれたはずです。」


キルステンはおもしろがっていた…。

ディエールとレオのやりりを………いやレオという特異とくい人間にんげんを…………。


「ふっふッフッ、いヤはヤ…オモしろイモノをさセてもらッタ、ソの少年しョうネンとはどコかデ、マタがスルヨ」


「……………………。」


ディエールは無言むごん圧力あつりょく冤罪えんざいのキルステンにおくった……。れ…と、


この冤罪えんざいのキルステンがこのとどまっているかぎり、いつまたレオのこころ復讐ふくしゅうがつくかわからない、それほどレオの精神力せいしんりょくつよい。


「………デは、お言葉コトバアまエテここは退シりゾかせてもラオウ……。あァそうがシテもラウおレイ1ヒト忠告チュうコくしてオこウ…………。」



「……あんタらヲメッすルのハ我々われワれデはナイ。」


「!!??まっ、てどういう意味いみだ!?」


冤罪えんざいのキルステンは最後さいごなにかをのこして、このから堕天使だてんしともえていった。最後さいごはなった言葉ことばは、いったいどういう意味いみなのかそれは、冤罪えんざいのキルステンがえたいまるすべはなく、ただこのには不気味ぶきみさだけがのこった。

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