第11話 感じた違和感…


「おい!見ろみろ!!南空なんくうひといてるぞ!!」


「こんなことって……」


「おぉ……かみよ…」


「ち、沈没ちんぼつときたのとなじだわ!」


生存者達せいぞんしゃたちってたことって…ほんとだったのか……」



それは…そのにいた船員せんいん元来がんらい乗客じょうきゃく、そして生存者達せいぞんしゃたちひとしく目撃もくげきしている。


そのときレオは



    「ウソだろ…………?」



レオは半信半疑はんしんはんぎになりながらも、注目ちゅうもくまとになっている南空なんくう視線しせんけた。


    

    「わらわせるぜ…」



視線しせんけた南空なんくうには…

たしかに、ひとかんでいた…

それは1人ひとり2人ふたりではなかった、ここからだと23にん確認かくにんできる


「あれが…天使てんしだとうなら……いまさらなにしにやがった」


レオはスティーヴ、デフォー、ウィリアムのことおもった



羽根はねをなびかせそらかぶ一団いちだんは、こちらをじっとていた…彼等かれらなにかをかたっている。


だが…いったいなにはなしているのかは、生存者達せいぞんしゃたちにはわからなかった、彼等かれらとは10mもはなれていないにもかかわらずそのしゃべりごえが、まったくこえないのである。


     「おかしい……」


     「声が聞こえんぞ…?」


その異常いじょう異様いようさは、その人達ひとたち恐怖心きょうふしんをあおった……が


それよりも彼等かれら戦慄せんりつさせたのものがあった……


       それは……



この一団いちだんから強烈きょうれつ悪意あくい、をかんじることだった。



沈没事故ちんぼつじこより不吉ふきつこときるかもしれない…」


そのにいた生存者達せいぞんしゃたちは、みなそうかんじとっていた。


一方いっぽうレオは、彼等かれらよりもさらにさきすすんだ感情かんじょうを、羽根はねえた一団いちだんいだいていた……それは…………



「あいつらが、スティーヴ、デフォー、ウィリアム、をころした」



奇妙きみょうにもそうかんじたのである……。



       いや………。



   そうかんじたからではない…。



「アメリカ渡航船とこうせんしずめた」……と。



   あいつらがそうっている。


    そうはなしている……。



そうレオだけは、一団いちだんこえこえていた。


「なぜ‥おれだけこえる……まわりのみんなはこえないのか…?」


それはレオ自身じしんなんでだかわからなかった。


「いや……そんなこといまはどうでもいい…それよりも………それよりも…………。」






  「あいつら…俺達おれたちだぞ……。」



一団いちだんからの強烈きょうれつ悪意あくいとは………。


俺達おれたちへの強烈きょうれつ殺意さつい……。



小僧こぞう!!いまなんてった?!」


となりにいた中年ちゅうねんのオヤジが、レオの発言はつげんおどろいてきた。



………その刹那せつなであった。



     「ギャーーー!!!!!」



甲板かんぱん中位置なかいちにいるレオから12mはなれた、甲板後方部かんぱんこうほうぶから悲鳴ひめいがあがる


その悲鳴ひめい強張こわばりをかんじたレオや甲板かんぱんにいたすべての人々ひとびとが、何事なにごとかと目線めせんをそこにけると、そこにはあたまどうはなれた青年せいねんたおれていた。



そして、その上空じょうくうには青年せいねん頭部とうぶった、羽根はねえたおとこかんでいた……。


周囲しゅういにいた人々ひとびとはその突然とつぜん惨劇さんげき恐怖きょうふあおざめた。



そして…その惨劇さんげきが、まるで合図あいずであったかのよう羽根はねえた一団いちだんがレオたちを…





       強襲きょうしゅうする 



「なんなんだこれは!!」


「キャーー」


「なんでこんな目に…」  



人々ひとびと状況じょうきょう把握はあくもままならぬまま、みぎひだり上空じょうくうからおそってくる羽根はねえた一団いちだんに、されるがままだった、その光景こうけいは、ウミドリのれが海中かいちゅうにいる獲物えものる、あの搾取さくしゅにとてもている。


甲板かんぱん混乱こんらんし、人々ひとびとは、我先われさきにと船内せんないげこもうと、船内入口せんないいりぐちせた。


それはさながら、すし状態じょうたいである。


レオは羽根はねえた一団いちだんより、まずその、ひとなみつぶされないよう必死ひっしであった。

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