第6話友の行方①


「うっ…う……」


「おお!!意識いしきもどしたぞ、あんちゃんすごい体力たいりょくだなワッハハ!これで救助きゅうじょされたものは、全員ぜんいんたすかったようだ!」


「こ…ここは……」


「おお‥このふねはフランスのふねで、あんちゃんがってたイギリスのふねおなじで、アメリカへの渡航船とこうせんだ」


この仏渡航船フランスとこうせんの、船員せんいんらしい小太こぶとりの30だい〜40だいくらいのおとこゆかよこたわってるレオを、手際てぎわよく手当てあてをしながら、事故当時じことうじ状況じょうきょうかたった。


かれうにはどうやら、このアメリカ渡航船とこうせんは、運良うんよく、えいアメリカ渡航船沈没事故とこうせんちんぼつじこきた現場げんばとちょうど渡航とこうルートがかさなっており、奇跡的きせきてきにも救助活動きゅうじょかつどうができたらしい。


「あのとき昼間ひるまだったから、あんちゃんのよう海原うなばらほうげられた人達ひとたち救出きゅうしゅつできたが、よるだったら火明ひあかりだけじゃきびしかったな」


「……おれようほうげられた人達ひとたち……」


レオはその言葉ことばき、フッとかけがえのない友達ともたちおもした。


「あっ!スティーブ、デフォー、ウィリアム!おい!おっさん!!ひとつきたいことが!!うっ!!……てて…」


「おいおい、あんちゃん、ゆっくりがれ、あんちゃんは肋骨ろっこつれているんだぞ?!」


「うっ…おれことはどうでもいい…それよりも、おれおな背丈せたけなりをしたおとこ3にんなかったか?!」


レオのそのすごみに一瞬いっしゅん小太こぶとりの船員せんいん気圧けおされた。


「むっむっ…いや…ガキでたすかったのは上流階級じょうりゅうかいきゅうのガキぐらいだ。ほかのガキは‥…あんちゃん以外いがいたすかったってはなしはかねぇな、なぁおまえら?」


「へい」


「……うそだ……そんなのうそだ……」


友達ともたち無事ぶじしんじたレオには、それはしんがた言葉ことばであった。


「うそじゃねぇよ、あんちゃん、なんならこの生存者名簿せいぞんしゃめいぼてみろ」


レオは小太こぶとりの船員せんいんから、生存者名簿せいぞんしゃめいぼなるものを手渡てわたされた。


救出きゅうしゅつされた人達ひとたち全員ぜんいん名前なまえをこの名簿めいぼいてもらっている。でよ、ここに名前なまえいてないのは、あんちゃんだけだ。てかあんちゃん、名前なまえなんてうんだ?それに友達ともだち名前なまえはなんていうんだ?」



「あいつらの名前なまえはどこだ……どこにある!」


小太こぶとりの船員せんいんびかけは、すでに必死ひっし名前なまえんでいるレオのみみにはとどいてなく、ひとごとのようにえていった……。

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