第5話SOS

1がつ17にちAM10:25現在げんざい

大西洋沖たいせいようおきえいアメリカ渡航船沈没事故現場とこうせんちんぼつじこげんば


あたらしき船出ふなで期待きたいで、むねおどらせていた

あのの、俺達おれたちだれがこうなることを、予見よけんできただろうか……。


走馬灯そうまとうようにめぐる、あの希望きぼうあふれていたひとときがレオをそうおもわせた。


「なぜ事故じこきたのか…

なぜこのふねは、沈没ちんぼつしなければならないのか」


17さいのレオには、わかるわけもなかった。


ただわかるのは、スティーブ、デフォー、ウィリアムも


「こんなことぬタマじゃない…………。」


「4人共にんともわらって再開さいかいできる………………。」


それだけはわかった……。

いや…そうであるとしんじたい……。


「3にん再会さいかいする」


そのことちからにレオは、必死ひっし海中かいちゅうしずむまいと、もがきつづけた。


しかし、そのつよ意思いしくだかんとするように、えきった海水かいすいはレオの身体からだむしばみ、ついには、意識いしきまでとおのけさせた。


ちからくなってきているのもかんじる。



レオはさすがにもうダメかとおもった。


おれ人生じんせいもここで幕引まくひきか」と…。



レオがそうあきらめかけたときであった。


レオの視線しせんに2キロさきぐらいであろうか、えいアメリカ渡航船とこうせんおな規模きぼふねがこちらに、かってきてるのがはいった。


レオは最初さいしょ意識いしきとおのくなかる、幻覚げんかくかとうたがったが、そのふねちかづくにつれ、そのふねが、おぼれているひと救助きゅうじょしながらこちらにすすんでている、というのがはっきりわかった。


レオはあのふね幻覚げんかくではないと確信かくしんすると、これが最後さいごすくいだとおもい、ちからいっぱいるうことにした。


ギリギリの意識いしきなか何度なんど気絶きぜつしかけながらも大声おおごえをあげた。


「おーーーい!!!おーーーい!!!」


50m…40mとふねとレオとの距離きょりちぢまっていく……。


その距離きょりが、ちぢまったこともあり、ようやく必死ひっしにSOSをおくるレオに、ふねづきふねは、まっすぐレオのほう針路しんろすすめてきた。


だが…レオとの距離きょりやく20mほどせまってきたであろうそのとき


「スティーブ……」


レオはそう言葉ことばにし、ついに、意識いしきうしなちからきてしまう。

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